2020-01-01から1年間の記事一覧

データクレンジング/大日本仏教全書の目次データを作成した話

ここしばらく、国立国会図書館デジタルコレクション(NDLデジコレ)で公開されている『大日本仏教全書』という仏典叢書のインデックスを作成する作業に没頭しておりました。 『大日本仏教全書』は大正時代に刊行されたものなのですが、大変面白いもので、仏…

新規開発されたJ-Stageの全文XML作成ツールにお付き合いした話(その2)

さて、前々回の記事の続きです。前回記事から引用すると、 総合的にみて現在おすすめのワークフロー というわけで、J-Stageで全文XML登載をするにあたって、当方でおすすめの作業の流れは、大体以下のような感じです。 ワードで、全文XML作成ツールに沿った…

動画へのアノテーションを(サーバなしで)手元で試してみる

本日、初めてのIIIF動画アノテーション講習会を実施しました。受講者だか講師だかわからないような人たちが続々ご参加くださったおかげで大変有益な議論ができました。 これにあたって、どういう風にすると皆さんが試しやすいだろうか…と考えつつ準備をする…

新規開発されたJ-Stageの全文XML作成ツールにお付き合いした話(その1)

J-Stageに論文登載をする作業を時々しています。一部にはよく知られていますが、J-Stageは、 学会等に無料でオープンアクセス論文の公開をさせてくれてDOIまでつけてくれるという信じられないくらいありがたいサービスです。 普通はお金を取るものですが、J-…

Web動画をアンロックする:IIIF動画アノテーションのご紹介

追記:動画に色々描き込んだりするのはYou○ubeやニコニ○動画でもできるんじゃないの…?と思われる人も多いと思いますが、 大きな違いが2点ありますので、それを挙げておきます。 まず、それらは今のところ基本的には「時間」に対して文字のアノテーションを…

Methodological Commons: デジタル人文学で昔から定番の話

前回のブログ記事では、最近回顧されているデジタル人文学の話題としてScholarly primitivesを採り上げてみましたが、そうなってくると、そもそもデジタル人文学の基礎的な概念として常に採り上げられる Methodological Commons(方法論の共有地) について…

Scholarly primitives: 最近デジタル人文学で話題になっている話

欧米のデジタル人文学業界も、最近はオンライン会議がよく行われるようになったり、SNSでの発信もますます活発化したりして、海外に行かなくても海外の様子が垣間見えることが増えてきました。 そこで気づいたことの一つが、かつて話題になっていたScholarly…

IIIFで動画:『あつまれ動物の森』にSAT図像DBのIIIF画像を取り込む方法をIIIF動画で紹介してみる

しばらく前に実装したのですが、なかなか紹介するタイミングが作れなかったので、IIIFの動画コンテンツの扱い方の紹介にあわせて、SAT図像DBのIIIF画像を『あつまれ動物の森』に取り込む方法をご紹介したいと思います。 ちなみに「あつまれ動物の森」は、以…

「デジタル人文学」以前の日本の人文系デジタルテキスト研究を探訪してみる

本日、日本デジタル・ヒューマニティーズ学会(JADH)の年次国際学術大会JADH2020が終了しました。リアル開催の予定だったものがバーチャルに途中で変更になり、日程も少し後ろに動かして、それでもなんとかきちんと開催でき、それほど人数は多くないながら…

LMSに教材をアップできればJ-Stageでオンライン論文公開はできるはず

このところ、J-Stageにかかりきりです。あまりお金のない学会の論文誌の編集作業を引き受けてしまっていて、それでいながらちょっと面倒なことに手を出してしまったためなのですが、ちょうどいい機会なので、表題の件について書いておきたいと思います。 「L…

Mirador 3が正式リリース:IIIF対応ビューワが新しくなりました

IIIF対応ビューワの代表格の一つ、Miradorの新バージョンが、ついに正式リリースとなりました。バージョン2の反省を踏まえつつ、一方で、バージョン2を通じて一気に広がった開発者コミュニティのパワーを活かして、バージョン2よりも圧倒的に便利そうな雰囲…

デジタルアーカイブ学会賞授賞を機に『日本の文化をデジタル世界に伝える』を改めてご紹介

昨秋、『日本の文化をデジタル世界に伝える』という著書を刊行した。このブログでは刊行の経緯について触れたことがあり、また、大学院生の方々による紹介記事を掲載したことがあったが、内容について、自分ではあまり触れなかった。この本が、ありがたくも…

日本学術会議の提言を読んでみる:学術情報流通の現在と未来【総集編】

ここのところ、9回にわたり、日本学術会議の提言「学術情報流通の現在と未来」を読んできました。 このところ、日本学術会議が話題になることが多く、そもそも研究者の間であまり知られていなかったということも広く認識されました。 そこで、日本学術会議が…

日本学術会議の提言を読んでみる:学術情報流通の現在と未来 9/n

少し間があいてしまいましたが、いよいよ、第三章「提言」に入ります。 http://www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/pdf/kohyo-24-t297-6.pdf#page=24 ここは、今まで読んできたことのまとめのようなもののようですので、筆者の関心から 斜め読みしつつ気がついた点…

日本学術会議の提言を読んでみる:学術情報流通の現在と未来 8/n

前回に続いて、日本学術会議の提言「学術情報流通の現在と未来」を読むシリーズです。 8回目です。 今回は、学協会の機能強化という話になるようです。 (4)学協会の機能強化に向けて ① 我が国の学協会の現状と将来予測 http://www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/p…

日本学術会議の提言を読んでみる:学術情報流通の現在と未来 7/n

さて、またまた前回の続きです。このあたりから、より具体的に方策を検討していくようです。 http://www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/pdf/kohyo-24-t297-6.pdf#page=18 (3)オープンデータ/オープンサイエンス ② オープンデータ/オープンサイエンス時代の知財リ…

日本学術会議の提言を読んでみる:学術情報流通の現在と未来 6/n

さて、前回記事の続きです。 いよいよオープンデータ/オープンサイエンスの話に突入です。 この節の番号が前と同じになってしまっているのは、学術会議の提言の オーサリングシステムがXML化されていれば大丈夫だった可能性が高いのに…、という、 論文XML化…

日本学術会議の提言を読んでみる:学術情報流通の現在と未来 5/n

前回記事の続きです。もう5回目になってしまいましたがまだ半分終わってないような感じで、 長い道のりですね。 前回は「今後10年間に起こるジャーナル出版の大変革」という節を見てきて、今後10年間の見通しに ついて押さえてきました。その次の節というこ…

日本学術会議の提言を読んでみる:学術情報流通の現在と未来 4/n

前回記事の続きです。今回は、PDFの12ページ目(6頁となっていますが)からですね。 http://www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/pdf/kohyo-24-t297-6.pdf#page=12 第二章第三節「(3)日本発のジャーナルの国際競争力向上のための戦略」 は、さらに3つの項目に分けら…

日本学術会議の提言を読んでみる:学術情報流通の現在と未来 3/n

本日も前回の記事の続きです。 今回は10ページ目の真ん中当たりからですね。 http://www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/pdf/kohyo-24-t297-6.pdf#page=9 (2)一括契約による学術情報ジャーナル購読問題の解決 これこそ、日本語の学術情報と少し縁遠いところの例の…

日本学術会議の提言を読んでみる:学術情報流通の現在と未来 2/n

さて、前回の記事の続きです。 PDFを途中から開きたい場合は、PDFのURL末尾に「#page=9」という風につけると 9ページ目が開く、という感じなのですが、これはみなさんご存じでしょうね。(もし初耳という場合は 今後ご活用ください)。 というわけで、9頁目…

日本学術会議の提言を読んでみる:学術情報流通の現在と未来 1/n

日本学術会議が急に世間で話題になっています。だからというわけではありません。話題になる前にでたこちらの提言 学術情報流通の大変革時代に向けた学術情報環境の再構築と国際競争力強化 をみんなで読む会をやってみたい、と、提言を見たときから思ってい…

KHコーダで 「#大学生の日常も大事だ 」を分析してみた(ちょっと追記)

#大学生の日常も大事だ というハッシュタグがツィッターを席巻したことがありました。そこで、しばらくこのハッシュタグのついたツィートや、そのツィートをしたアカウントのツィートをツィッタAPIで収集しておりました。 7/10から7/29までに取得した173GBの…

MLAのウチとソト

MLA、と言われて、「文系」の人が思いつくものにはおそらく2種類あります。一つは、Museum, Libraries, and Archivesの略であり、博物館・美術館・図書館・文書館等のことを 総称し、そういった文化的なことがらに関わる機関が連携して活動することを志向し…

Zoomのミーティング×10を自宅でモニタできるように

今回、とあるお仕事で、表題のような設定をしたので忘れないうちにメモっておきます。 状況としては、Zoomミーティング10件を同時運用するオンライン会議の運営者複数名が、各地の自宅環境において、 Zoomミーティング10件をモニタしたい、というものでした…

40代後半人文系で未だにWeb開発をしている理由

もう50歳がすぐそこにきていますが、未だにWebシステムの開発をしています。開発は若手や企業に任せて、自分は開発資金をとったり発注をしたりする側に まわるべきだ、ということもよく言われます。確かにそのとおりです。 ただ、現状のWeb技術のなかで「自…

今日のハマりどころと抜け出しどころ:jQuery ⇒ vue.jsな日々

今日も、あんまり vue.js は関係ないのですが、OpenSeadragonを組み込むのは割と簡単でした。 vue-openseadragonっていうのもあって、それだとreactiveに扱えそうなのですが、 組み込まれているOpenSeadragonのバージョンが一つ前なので、やめて、オリジナル…

jQueryをやめてvue.jsに取り組んでいてハマったところ

詳しくはまた別途書くとして、とりあえず、10年以上jQueryを使ってきて、とうとうvue.jsに切り替えることにして一からサイトを作り直している際に色々なところにハマったので、忘れないようにメモ。vue.jsでハマったというより、jQueryをやめたことでハマっ…

3Dでミーティングしたり展示室作ったりしてみましょう?

昨日からご紹介している、MozillaがリリースしたHubs Cloudですが、元々はこちらのサイトでMozillaが使えるようにしていたバーチャルルームを、先月末にどこのサーバでも簡単に設置できるようにした、ということのようですね。ですので、操作に関するドキュ…

3Dミーティングツール? Hubs Cloud がすごすぎて呆然

最近、バーチャルオンライン会議について色んな人と話をするのですが、リアルでもバーチャルでも比較的よく会う米国人の友人が、昨日、もうバーチャル会議飽きたからこういうのどうだ、と言ってきたのが Hubs Cloud でした。 hubs.mozilla.com ググったらこ…