古典の引用手法としては、長らく CTS (Canonical Text Services) というものが西洋系を中心に広まっていました。 たとえば Canonical Text Services protocol specification を見ると、以下のように書いてあります。
Canonical Text Services (CTS) プロトコルは、クライアントとサーバー間での相互作用を定義し、テキストの識別および正規的に引用されたテキストの節の取得を可能にする。
あるいは、デジタル古典学wikiには以下のように書いてあります。
Canonical Text Services (CTS) は、正規的な参照によって引用されたテキストの節を識別し、取得するためのプロトコルである。
Canonical(以前は "Classical")Text Services 仕様は、テキストを識別し、その断片を取得するためのネットワークサービスを定義する。このとき「作品 (work)」や「引用 (citation)」といった、古典研究やその他の文学分野で伝統的に用いられてきた概念を利用する。
CTS は CITE アーキテクチャの一部であり、Homer Multitext プロジェクトのニーズに応えるために Blackwell と Smith によって開発された。
先日、リスボンでのDigital Humanities 2025 に参加した際に、これの後継になりそうなものとしてのDTS (Distributed Text Services) のポスター発表があり、少し話を聞いてみたところ、心意気はなかなかのもので、テキスト引用におけるIIIFのような存在になりたい、というようなことをおっしゃっていました。サイトを見ると概ね以下のような説明があります。
Distributed Text Services (DTS) 仕様は、テキストコレクションを機械可処理データとして扱うための API を定義する。
デジタルテキストコレクションの発行者は、DTS API を利用することで、自身のテキストデータを Findable, Accessible, Interoperable, Reusable (FAIR) にすることができる。
DTS はデジタルテキストコレクションの機械的利用を可能にし、データ分析やユーザーインターフェース、ツール、サービスの開発など、さまざまな形でコレクションの利用者に活用されうる。
DTS は API の仕様であり、それ自体が API の実装ではない。参照実装が用意されており(下記参照)、個々のテキスト発行者は、自身のプロジェクトに応じてこの API を実装することが推奨される。
詳細や DTS に関する FAQ(よくある質問)の一覧については FAQ を参照のこと。
説明がなんだか現代的な感じがするところが面白いですが、とにかく、これに対応してみると、有用性が高まるかもしれないですね。