2019-01-01から1年間の記事一覧

オープンアクセス出版『デジタル学術空間の作り方』が刊行されました

ここしばらく、文章を書く時間のほとんどを費やしていたものが、ついに刊行されました。 もうじきアマゾンで紙版が入手可能になる予定ですが、 https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/490965819X/hanmotocom-22www.amazon.co.jp 科研費事業の成果報告と…

IIIF manifestファイルを簡単に作ってみよう

今回は、最低限のIIIF manifestファイルを簡単に作ってみる方法をご用意してみました。経緯等は後回しにして、とりあえずやり方をば。 画像ファイルは、前回記事のやり方でpyramid tiffになっているものとします。拡張子は.tif。 そして、一つの資料ごとに一…

IIIF Image サーバ (IIP Image server)構築のために(Python3+VIPSで)(Centos7用追記あり)

以前に、IIIF Imageサーバで大きな画像やたくさんの画像を高速に配信したい場合の有力な手段としてIIP Image serverのインストールの仕方をご紹介しました。 ただ、以前の記事では、「ピラミッド型タイル画像ファイルの用意」に関する説明があまり親切ではあ…

デジタルアーカイブがサイズ感を得る時

まずはこちらの画像を見てください。何をしているのかというと、「サイズの異なる写真で、映り込んでいる定規をディープラーニングで解析してサイズをぴったりあわせて」います。 これで、2つの百鬼夜行絵巻のサイズの違い(片方は箱ですが)を、いちいちズ…

「デジタルアーカイブ研究」の観点?

今度、「第 7 回定例研究会:ジャパンサーチの課題と展望」というところでお話をさせていただくことになりました。 ここしばらくのジャパンサーチ試用は、そのご依頼を果たすための準備だったのですが、今回のご依頼は、実は使い勝手の 話ではなくて「 仕組…

ようやく刊行にこぎつけました:『日本の文化をデジタル世界に伝える』

『日本の文化をデジタル世界に伝える』というやや大仰なタイトルの本を刊行することになりました。 www.jusonbo.co.jp 京都大学人文科学研究所で共同研究班をやらせていただいた時の成果物の刊行という位置づけのものですが、終了後、かなり時間が経ってから…

IIIF画像同士を重ねてみるViewerを作りました:その1・機能の紹介

先週、数人の知り合いの人文系開発者の方々と、一緒に集中的に開発やデータ作成をしようということで、南房総の方で合宿をしてきました。年甲斐もなく、自分も開発に集中してしまったのですが、どうしてもよくわからなかった事柄の理解を中心に、かなり集中…

サーチしないジャパンサーチ(BETA)~ジャパンサーチを探検 その6

前回記事の最後で触れたように、検索しない使い方も提供されているようですので、少し気分を変えて、検索しない場合はどういう風に使えそうなのか、ちょっとみてみます。 「ジャパンサーチ」と言われると、検索窓を探してしまいますが、その名前を忘れてみて…

ジャパンサーチ(BETA)を探検 その5 少しマニアックな使い方

これまでの記事に引き続き、ジャパンサーチ(BETA)の探検です。再び、検索してみようとしますが、こういう風にして使ってくると、検索がメインのサイトではないというメッセージなのではないか、という気がしてきますね。実際にそういうところを目指してい…

ジャパンサーチ(BETA)を探検 その4 鯰?ナマズ?

ジャパンサーチで古地図を探してみたり仏像を調べて見たりしました。こういった文化的なものとは別に、ジャパンサーチでは生物関係の資料も豊富のようです。個人的には、魚や両生類は少々好きなので、少しそういう方面からの検索もしてみます。 というわけで…

ジャパンサーチ(BETA)を探検 その3

前回に続き、素人路線ということで、もう少し薬師如来像についてジャパンサーチ上での探検を続けてみます。 「薬師如来」だと1,213件なのですが、「薬師如来像」で検索すると318件になります。なるほど、像かそうでないかで違うのか、 と思いきや、「薬師如…

ジャパンサーチ(BETA)を探検 その2

ジャパンサーチ(BETA)を探検してみる記事の続きです…が、意外なことに、他のブログ記事に比べると公開時のアクセス数が全然のびません。夏休みの人もおられるのかもしれませんが、ジャパンサーチ(BETA)の注目度はまだまだこれからということなのでしょう…

ジャパンサーチ(BETA)を探検 踊り場にて

前回の記事では、ジャパンサーチ(BETA)の入り口あたりを探検してみました。 ダンジョンで言えば、地下一階を探検して、下層に向かう最初の階段にたどり着いたあたりかなと思います。そこで、踊り場にて、ちょっと一休みしながら 地下一階の探検を振り返っ…

ジャパンサーチ(BETA)を探検その1

まだベータ版ですのでこれから色々良くなっていくところだと思いますが、ベータ版をレビューすべしという声があちこちから聞かれるので、私も少し触ってみることにしました。 色々な使い方があると思いますが、まずは、ちょうど用事があったので、江戸時代の…

フリーのOCRソフトTesseract 4 が簡単に使えるようになってました!

しばらく前から時々試してみていたTesseract ですが、気がついたらえらく使いやすい感じになっていたので、また試してみました。 なんと、メジャーなLinuxディストリビューションごとにバイナリが用意されていたのです。こういうものは 「Ubuntuだとこうやっ…

近代文語UnidicをPython3で使おうとして少々大変だった話

プログラミング言語と言えば、仕事ではこのところずっとPHPとJavascriptばかり使っておりますが、ディープラーニング関係はPythonのライブラリが強いということと、大学院生達に教えるならとりあえず世界的な情勢からもPython一択しかないと思って、なんとか…

IIIF対応ビューワ:最近の話題

IIIFは、おかげさまで徐々に国内にも広がってきておりまして、あちこちの画像をまとめて統合的に活用することも現実的なものとなってきました。一方、対応ビューワの方にも少し新しい話が出てきております。やはり注目はMirador3で、これまでの課題を解決し…

簡単なIIIFビューワを作ってみよう(6): もう少し便利なインターフェイスを

透過度や位置を変更できるようにしましたが、いちいち数字を入れてボタンを押す・・・という操作はいかにも面倒です。透過度の調整は、スライダが適しているように思えます。そこで jQuery UIのスライダを組み込んでみましょう。 とりあえず、動くスライダを…

簡単なIIIFビューワを作ってみよう:まとめ

IIIF Presesntation APIを理解する上で、IIIF ビューワを作ってみるとよいのではないかと思いまして、ちょっとチュートリアル的なものを作ってみました。 と言っても、一から作るわけではなく、画像表示部分はOpenSeadragonにおまかせ、という話です。OpenSe…

簡単なIIIFビューワを作ってみよう(5): 切り出した画像を重ねてみる

切り出しができたところで、さてこの後はどうしましょうか、ということになりますが、OpenSeadragonには図形や画像を重ねて一緒にズームできるようにするAPIが用意されていますので、切り出した画像を重ねてみる、という仕組みを用意してみましょう。これは…

簡単なIIIFビューワを作ってみよう(4): 画像切り出しをしてみよう

前回までで、ページめくりからページ指定までできるようになりました。ここまできたら、もう少し色々な機能をつけてみたくなります。そこで、IIIFの面白さの一つとしてよく採り上げられる、画像切り出しをやってみましょう。 画像切り出しプラグインの導入 …

簡単なIIIFビューワを作ってみよう(3): おまけの機能を少し

前回までで、とりあえず、IIIF manifestを指定するとそこに含まれる画像を順番に表示して拡大縮小もできるようになりました。ここまでで、IIIFビューワのごく基本的な機能は作れたと言ってよいのではないかと思います。 ここからは、もう少し便利にするため…

簡単なIIIFビューワを作ってみよう(2): IIIF Presentation APIの理解に向けて

さて、前回の続きです。 IIIFでの画像のURLをManifestから取り出す 先に見てきたように、画像の @id のJSONでの階層を確認しました。そこで、それを取り出して表示させてみましょう。$.ajaxで取得してmaniJsonに入れたmaniefstファイルで、「複数のsequence…

簡単なIIIFビューワを作ってみよう(1): IIIF Presentation APIの理解に向けて

IIIF Presentation APIについて、当ブログではこれまであまり言及してきませんでした。その理由は大きく二つあって、一つは、JSONを読める人なら必要があったときに見ればすぐにわかるのではないか、ということと、一方で、コンテンツの専門家のレベルでは、…

お手元の画像をIIIF画像と透過で重ねて比較してみる

IIIFを日本で紹介し始めた当初から、「公開はできないけど手元に持っている画像を公開画像と比較できないのか」と、主に仏教文献学的な研究をやっている方々から言われてきました。理論的にはもちろん可能なのですが、比較的簡単に、しかしサーバにアップロ…

Goobi3.0 続編:画像チェック・メタデータ付与・IIIF閲覧編

さて、前回、前々々回の記事に続き、デジタルアーカイブにおけるメタデータ作成と画像チェックを飛躍的に便利にするコラボソフトウェア、Goobiの使い方です。前回までの手順を経て、ようやく具体的に画像をチェックできるところまできました。画像チェック画…

Goobi3.0 続編:基本的な使い方:準備編

ずいぶん時間が経ってしまって大変申し訳ありません。前々回の記事の続きです。みんなで動作確認できたはずだったのですが、改めてやってみたらまたうまくいかなくなってしまってしばらくハマってました。が、そのおかげでさらなるTipsも得ることができまし…

TEI P5ガイドラインの最新版(v3.5.0)でルビを。

Goobiの記事の続きを書こうと四苦八苦していましたが、その間にまた色々別な仕事も入ってきておりまして、その関係で一つ便利なものを作りましたのでお知らせです。 TEI P5ガイドラインは着々とアップデートを続けておりまして、現在はv3.5.0となっておりま…

デジタルアーカイブでの画像の取り扱いにお悩みの方へ:Goobiその1

2日間、京都大学で開催されたデジタルアーカイブ学会が終了し、みなさまそれぞれに課題を持ち帰られたことと思います。かくいう私も、色々な方の発表をおうかがいし、様々な示唆をいただいたところでした。具体的な実践の発表から得られる情報と教訓も、いつ…

IIIFでフルサイズ画像ダウンロードをさせないためのお手軽設定

IIIFの導入にあたって、「画像ダウンロードさせたくない」という理由で反対されるケースが未だにそこここで聞かれるという話をうかがいましたので、簡単ソリューションを考えてみました。 この件は、そもそも画面キャプチャをすれば画像入手はできてしまうと…