2日間、京都大学で開催されたデジタルアーカイブ学会が終了し、みなさまそれぞれに課題を持ち帰られたことと思います。かくいう私も、色々な方の発表をおうかがいし、様々な示唆をいただいたところでした。具体的な実践の発表から得られる情報と教訓も、いつもながら貴重なものがありました。
ところで、初日の懇親会の後、一部有志で集まり、Goobiというソフトウェアの使い方の検討会を行いました。参加メンバーは、敬称を略させていただきますが、大西亘(神奈川県立生命の星・地球博物館)、岡田一祐(国文学研究資料館)、亀田尭宙(京都大学)、中西智範(早稲田大学)、中村覚(東京大学)、宮本隆史(東京大学)+永崎という感じで、この便利なソフトを日本でデジタルアーカイブ関連の仕事をしている方々がみんなで使って仕事を効率化できるようにするには(=みんなで幸せになるためには)どうしたらいいのか、和気藹々と喫茶店で皆で深夜までノートPCを広げて知恵を出し合ったのでした。
Goobiの説明は、以下のようになっています。
デジタル化プロジェクトのためのオープンソースソフトウェアです。Goobiを通じて、自由に定義できる生成プロセスを、モデル化し、運用し、管理できます。そして、多くの機関による日常業務で、デジタル図書館を構築するためのすべてのステップを扱うことに役立ちます。そこには、図書館の目録やスキャン、コンテンツベースの索引からのデータの取り込みや、デジタル保存、書物からオンライン展示に移行した際の一般的な標準フォーマットでの成果の配信が含まれています。
もう少し分かりやすく言うと、書物をデジタル撮影した場合に、その画像を一つずつ拡大縮小しながらチェックして、メタデータをつけて、IIIFで公開できるようにエクスポートするという一連の作業を行う際に、それらの工程をWebブラウザ上でできてしまうだけでなく、個々の工程がどれくらい進んだか、どういう状況か、といったことの管理までもWebブラウザでできてしまうシステムです。あんまり大きな規模の仕事だと、別途データベースサーバも用意しなければならないようで、ちょっと大変ですが、小・中規模であれば、Javaで書かれたプログラムをダブルクリックするだけで使えるようになりますので、おそろしく手軽です。これを知った時、欧州のデジタルライブラリアン・デジタルキュレイター・デジタル○○の人達(つまり日本で言うところのデジタルアーキビスト)のワークライフバランスはこういうソフトウェアによって支えられているのか!と感心した次第です。もちろん、公開用システムにはIIIFがばっちり組み込まれており、やはりIIIFもそこに貢献し得るものかと改めて思ったところでした。
さて、昨晩、上記のメンバーで検討したのは、このGoobiの使い方の確認でした。皆で検討した結果、まだ「これで何もかもばっちり」というところまでは行っておりませんが、まあ大体こうすると動いた、というところまではいきました。ただし、Windows10環境のみです。MacやLinuxではまだ以下の動作をすべて確認するところまでは行っておりませんのでご注意ください。
というわけで、以下、ちょっと説明を試みます。
まず、Goobiを使った画像管理の全体の流れとしては、以下のような感じです。
全体的な作業の流れ
1. Projectを作る
2. Process templateを作る
2.1必要に応じてtaskを作成・追加する
3. Processを作る
3.1元資料のメタデータ、プロセスの情報を入力
3.2デジタル化に関する情報を入力
4. Process中の個々のtaskを進めていく
4.1 taskの例:
・画像を(まとめて)アップロード
・画像をチェック
・画像を処理
5. Processesリストで「Edit Metadata」をクリックしてメタデータを整備(METSの
メタデータエディタが起動する模様)
6. Processesリストでエクスポートボタンをクリック
⇒IIIFで公開できる
という感じです。普通(?)に考えると、こういうことができるソフトは、かなり設定がややこしかったりしそうなのですが、なんとこれが、JAVAのソフトをダウンロードして起動する(Windowsの場合、ダブルクリックする)だけでできます。セットアップの仕方は以下のURLに書いてありますので英語を読める方はそのまま進めてみてください。
https://www.intranda.com/en/digiverso/goobi/goobi-to-go/
一応日本語でも書いておきますと、Goobiのダウンロードは以下のURLからです。
http://files.intranda.com/g2g5
g2g5.zipというようなファイルがダウンロードできますので、このzipを元に戻します。(ダブルクリックするだけだと、うまく起動しません。きちんとファイル圧縮解凍ソフトを使って解凍してください。)
そこでできたフォルダを開くと、 GoobiToGo.jarというファイルがあるはずですので、それをダブルクリックします。それで起動します。なんと、たったこれだけです。
Java8を使っているようですので、Java8環境がなかったり、Java環境のパスがおかしかったりすると動かないこともありますので、お気を付けください。
次に、このGoobiにWebブラウザでアクセスしてみます。以下のURLに、以下のLogin/ Passwordでアクセスしてみましょう。こちらは、画像に関する作業をしたり、作業を管理したりする画面です。
- URL: http://localhost:8888/goobi/
- Login: goobi
- Password: goobi
作業が終わったものは、以下の ViewerでIIIFコンテンツとして閲覧することができます。(IIIF Viewerも組み込まれているようです)。
- URL: http://localhost:8888/viewer/
- Login: goobi@intranda.com
- Password: goobi
あとは、タスク・タスク管理画面(http://localhost:8888/goobi/)の方から、上記のような流れで作業をすることになるのですが、続きはまた次回に!(上記の説明だけで画像公開までできた人は、ぜひお知らせください。)