さて、またまた前回の続きです。このあたりから、より具体的に方策を検討していくようです。
http://www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/pdf/kohyo-24-t297-6.pdf#page=18
(3)オープンデータ/オープンサイエンス
② オープンデータ/オープンサイエンス時代の知財リテラシーと必要な人材
タイトルの通り、知財リテラシーと必要な人材、という、これがなくては本格的な仕事ができないという 話に踏み込んでいきます。 「オープン化」は、自由な再利用と再配布を含意するようになってきているが、研究者の側に その理解が十分に広まっておらず、OD/OAジャーナルへの投稿に際してはこういった知財管理的なことに ついて特に留意すべきであるとしています。また、研究データに関しては、知財の観点だけでなく、 データの検証性を確保して公正性を担保するという文脈もあります。一方で失敗した実験データの 管理も求められることになります。こういった条項を踏まえつつ日本の研究を適切に 発信していくためには「研究データマネージャー」のような職種を設ける必要が あるとしています。
人文系の場合、分野によって色々あると思いますが、知財リテラシーという観点では、 (1) 一次資料の所有権、(2) そこから作成したノートやカード等の著作権、(3) 成果物の著作権といったあたりが 出てくるでしょうか。研究者側では(2)と(3)が主に関わってきますが、(2)に 関しては、前回のブログ記事での「二次研究データ」にあたるものと考えてよい だろうと思いますが、個人的に作成されたものの多くは基本的に公開を前提として作っているものではなく、 ごく一部の大家のものをのぞきほとんどはやがて死蔵され存在を忘れ去られていくことが多いものだろうと思われます。 また、協働で作成する目録等の場合には公開を前提として作成される場合もあるようです。そのような感じです ので、もし理工系のOD/OAジャーナルのようにデータ公開を求めてくる流れになるのであれば、 やはり同様に知財リテラシーが必要になっていくことでしょう。 一方、(3)に関しては、OD/OAジャーナルであればオープン化されることになりますが、 これをどのようなレベルでオープン化するか、という判断をすることになると、やはりある程度の リテラシーはあった方がよさそうです。これまでは著書出版であれば出版社があれこれ やってくれて、いつのまにか国立国会図書館で永久保存されているというものであり、 ジャーナルへの論文掲載であれば、学会やジャーナル発行会社が面倒をみてくれて、 あとは同様にであったように思われます。基本的に、かつては研究者があまり研究以外のことを 考えなくて済むような仕組みが形成されてきていたように思われるのですが、そこのところが 予算を削減されつつの変革期である上に人数が全体として減ってきているといことで、研究者が 色んなことに自ら配慮しなければならないという、なんとも厳しい状況に 陥っているところもあるようです。
そのようなわけで、こういったことを扱いつつ、人文学のデータに固有の状況も 把握して全体に反映させられるような「研究データマネージャー」人材は、人文学としても 今後重要になっていくと想像されます。
さて、この箇所は短く、もう終わってしまいました。 次は「(4)学協会の機能強化に向けて」となっておりますが、実はもう眠くなってしまって おりまして、続きはまた次回ということでお願いいたします。