CLARIN-ERIC/欧州の言語資源データインフラについて

欧州の言語資源データインフラとして運用されているCLARIN-ERICについて、ちょっと言及しなければならないかもしれないので 、CLARIN in a nutshell | CLARIN ERIC から、少しメモをしておきます。

CLARIN は、"Common Language Resources and Technology Infrastructure"の略。言語資源全般と技術のインフラ。

人文・社会科学分野の研究者を支援するために、シングルサインオン型のオンライン環境を通じて、 ヨーロッパ中のすべてのデジタル言語リソースやツールにアクセスできるようにするべく始まった研究インフラ。

2012年にCLARIN ERICが設立された。それは、人文科学や社会科学の研究のための言語データやツールの共有、利用、 持続可能性を支援するインフラストラクチャを構築し、維持することを使命とした。

現在CLARINは、社会科学や人文科学の研究者やもっと広範な研究者のために、デジタル化言語データ(書き言葉、話し言葉、マルチモーダル形式) への簡単で持続可能なアクセスを提供している。 さらにCLARINは、高度なツールも提供している。それは、データセットがどこにあっても、発見、探索、利用、アノテーション、分析、結合できるものである。 これは、言語データリポジトリ、サービスセンター、ナレッジセンターといったセンターのネットワーク化された連合によって可能となるものであり、 参加国のアカデミックコミュニティのすべてのメンバーがシングルサインオンでアクセスできるようになる。 データコレクションを組み合わせたり、異なるソースのツールを連結して複雑な操作を実行したりして、 研究者の作業をサポートすることができるようにするため、異なる機関のツールやデータは相互運用可能となっている。

CLARIN のインフラストラクチャは多くの国で完全に稼働しており、多くの参加機関がデータ、ツール、専門知識へのアクセスサービスを提供している。 同時に、最近参加したいくつかの国では、CLARINのデータセットとサービスが継続的に更新され、改善されている。 サービスのページでは、現在アクセス可能なサービスを紹介し、様々なサービスを誰がどのようにアクセスできるかを説明している。

ついでに、ERICって何?という話もCLARINのサイトに乗っている情報で簡潔に。

CLARINは分散型デジタルインフラストラクチャであり、ヨーロッパ中の大学、研究機関、図書館、公文書館などの機関が参加している。 すべての参加機関に共通しているのは、利用者である研究者のために、デジタル言語データコレクションへのアクセス、 それらを扱うためのデジタルツール、そして、専門知識を提供していることである。

CLARIN のガバナンスと調整機関は ERIC(欧州研究基盤コンソーシアム)である。 ERIC は、2009 年に欧州委員会によって設立された国際的な法人である。CLARIN ERIC のメンバーは政府または政府間組織である。2012年以降、いくつかの国が正会員として、 または オブザーバー(正式加盟に向けての準備をする)として参加している。最終的な目標は、すべてのEU加盟国とその関連国、および欧州内外の第三国を含めることである。

CLARINは、欧州研究インフラ戦略フォーラム(ESFRI)の欧州研究インフラロードマップに選定された研究インフラの一つである。 2016年に、CLARINはESFRIの新しいロードマップのランドマークという位置づけになった。

CLARIN インフラの構築は、9 名の設立メンバーで CLARIN ERIC が設立された2012 年 2 月 29 日に正式に開始された。 CLARIN ERIC の主な業務は、CLARIN インフラの構築、運営、調整、維持管理であり、研究活動を実施したり資金提供したりすることはない。

CLARIN ERICは、欧州委員会によるCLARIN準備段階プロジェクト(2008-2011年)の財政支援を受けて設立されたが、現在は参加国が全額を出資している。