SSH Open Marketplace:欧州の人文・社会科学分野の研究資源カタログはクラウドソーシングのようでした

欧州では European Union’s Horizon 2020 project の下、研究インフラの構築が盛んに行われています。 European Research Infrastructure Consortium (ERIC) を中心として進められているようで、 基本的には理工系の話なのですが、欧州では人文・社会科学にもそれなりに力が入っているようです。 たとえば、社会科学ではCESSDAやESS (European Social Survey)、 人文学ではCLARINDARIAHが割と有名です。

しかしながら、研究に関わる資料やデータ・ツールなどをあちらこちらのサイトに見に行くのは なかなか大変です。当然、横断検索サイトを作りたいという話がでてきそうです。日本では 全分野の横断サイトとしてCiNii Research、人文・社会科学に特化したより詳細な横断検索サイト としてJDCatがあります。では、研究インフラ構築が盛んな欧州では…と思っていたら 出てきていたのが SSH Open Marketplace でした。 上記の組織をはじめ、人文・社会科学に関連する欧州の様々な組織が参加して いて、研究リソースの横断検索サイトを作る…という話で、2018年のこちらのシンポジウムで Laurent Romary先生がこういう話をしてらっしゃったので、それがいよいよ結実しつつあるのか…と思いながら 時々サイトを眺めていたところ、数ヶ月前に Final Versionというのが出ていました。 そこで以下のようなツィートをしたりしていたのですが、

これが、どうもよくみると、誰でもデータの登録申請ができるようなことを書いてありましたので、 もしかして…と思って、データ登録の操作をしてみました。

そして、本日、「そういえばどうなったかな…」と思ってサイトを改めてみてみたところ… ちゃんと登録されていました!

marketplace.sshopencloud.eu

メタデータをよくみると、INFORMATION CONTRIBUTORSとして、データ登録をした 私の名前以外に、Edward Grayという名前があります。この人がどこの人かを確認してみると、 このプロジェクトのメンバーのリストの中にお名前があり、 フランス国立科学研究センター(CNRS)の人文社会科学系のプロジェクト、Huma-Numの人のようです。 ここまでわかると、個人のプロフィールにもたどりつけます。 今回登録したデータは、コンテンツは仏教学ですがWebサイトやデータの一次言語はフランス語でしたので、 フランスの人が見た、ということかもしれませんが、博論で宗教も扱ったようですので、それも 関係あったかもしれないですね。メンバーのリストを見ると、各機関からいろいろな分野の人が 参加していて、この人たちがデータをキュレーションしてくれるなら、結構よい感じの サイトになっていくかもしれないと思ったところでした。

というようなことで、このSSH Open Marcketplaceは、「人文社会科学系キュレーション付きクラウドソーシング研究資源カタログサイト」 と考えておくとよさそうですね。すでに結構な量のデータが入っているようでもありますが、今後、みんなで育てていくと いいかもしれないですね。