歴史地名データをNeatline/Omekaにマッピング

昨年度、人間文化研究機構+H-GIS研究会から、歴史地名データが公開されました。これは単なるテキストデータなのですが、それゆえに大変画期的なものです。何が画期的かと言えば、みんなで自由に加工して好きなように使えるからです。きれいな地図も絵も何もありませんが、代わりに、このデータを使って自分で便利な地図や絵を作成することができますし、それをきれいにデザインすることもできます。さらに、再配布も可となっているため、このデータを使って自分で作った地図や絵をネットに公開することもできます。

 

さて、そこでさっそく、この地名データを使って何かしてみたい・・・と思いつつ半年ほど過ぎてしまいましたが、このたびようやく、諸事情によりこれをいじらねばならない状況になりましたので、少しいじってみました。とりあえず今回は、「城」に関する地名をNeatline/Omekaの地図上に一括マッピングしてみる、と言う内容を例としてあげてみます。たとえば以下のような感じになります。こちらでマップそのものも閲覧できます。

 

f:id:digitalnagasaki:20181121095302p:plain

 

この方法について、以下にご紹介していきます。

 

まず、必要なものは、OmekaにCSVImportプラグインとNeatlineプラグインをインストールしたものです。Omekaのインストールについてはこちらをご覧ください。自力でインストールせずとも、どこかにOmekaのインスタンスを用意してくれる人/部署を見つければよいのですが、自分のパソコンにもインストールできます。

 

 さて、準備ができましたら次はデータの加工です。ここで微妙にややこしいのが、Omeka/Neatlineの場合、メルカトル図法での座標情報を要求してくる点です。一方、歴史地名データでは世界測地系(WGS 84)を用いているため、これを変換する必要があります。この点はNeatlineユーザの間ではわりとよく知られているようで、こちらJavascriptでの変換プログラムも提供されています。これに加えて、データ形式

GEOMETRYCOLLECTION(POINT(15111247.565786 4161286.75838))

という感じにしてOmeka上の(ダブリン・コアの)Coverageフィールドにマッピングしておくと、Neatline地図上にプロットできる座標情報になるみたいです。というわけで、とりあえず、最後のフィールドにこれを追記したものをこちらに置いておきます。計算式が間違っていたり、データがずれていたりしたらお知らせください。

 

 それでは次に、この29万件以上のデータからお城のデータだけを取り出してみます。ここで大変ありがたいことに、この歴史地名データには「属性」がついていて、地名_属性.txt というファイルにその説明が記されています。これを見ていくと、

16,"建物","城",1

という行があります。この16番というのが 地名.txtの「属性」フィールドに対応しているようですので、「属性」フィールドが16となっているものを取り出してみます。この場合、データ量が結構多いので、grep などを使うと便利でしょうか。取り出した上で、さらにフィールド名を先頭行に入れたものがこちらになります。206件ありました。

 

 ここまでできたら、あとはOmekaに取り込むだけです。が、まず最初に大事なのは「コレクション」を作っておくことです。今回は「お城マップ」というコレクションを作成しています。

 次に、以下のようにしてCSVImport機能で任意のコレクション(この例では「お城マップ」)を指定してから

f:id:digitalnagasaki:20181121102449p:plain

 

このファイルを読み込ませると、以下のような感じになりますので、少なくとも Coverageとtitleだけはきちんと選択しておいてください。あとはお好みで。

 

f:id:digitalnagasaki:20181121102212p:plain

 

インポートが終わったら、次はこのデータをNeatlineの地図にインポートします。

 

Neatlineの地図は、コレクション単位等でアイテムをインポートすることができます。この際に、coverageに所定のフォーマットのデータが入っていると、地図上にいきなり一括マッピングしてくれます。今回の場合ですと、以下のような感じです。

 

f:id:digitalnagasaki:20181121102630p:plain

 

加工可能な形でデータが公開されていると、このように、色々自由に活用できるという点が大変ありがたいですね。あとは、まあ、ぼちぼち、手で修正するもよし、もっとデータを加工してからCSVImportするもよし、色々楽しめるのではないかと思います。