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本日、 第4回 SPARC Japan セミナー2015 「研究振興の文脈における大学図書館の機能」に参加する予定なのですが…

本日、  第4回 SPARC Japan セミナー2015 「研究振興の文脈における大学図書館の機能」に参加する予定なのですが、もう本当に仕事が立て込んでいて、行けるかどうか定かでないので、とりあえず質疑応答の時間があったら聞いておきたいことを先に書いておくことにする。

 

もちろん、概要や講演要旨にすべてが書かれているわけではないと思うので、実際に参加してみなさまのご講演を拝聴することができたなら、特に質問などする必要もないという状況になるかもしれない。それも踏まえつつ、一応、考えを整理しておくために書いておくと、

 

聞いてみたいことというのは、かいつまんで言えば、「研究振興の文脈における大学図書館の機能」というタイトルで、「本(古典籍・貴重書等も含む)」が論点として全然出てきていないように見えるのだがそれで大丈夫だろうか、という点である。「本」と、そのデジタル化・デジタル化されたものも含めた活用を通じた研究振興というのは、そのほとんどは人文社会科学系が相手になるので、今のところすぐにはあまりお金にはならないし、図書館の皆様のこれまでのご経験からすると、もしかしたらややこしいことも多いのかもしれない。しかし、そこを外してしまったら、そもそも図書館である必要がなくなってしまうのではないか、というのが若干気になるのだ。

 

もちろん、図書館という枠に拘泥せずに、その期待される本来的な機能(であると思われる)研究振興という原点(だと思う)に戻って考えて見ると、多分このような絵になるのだろうと思う。学術情報流通にも少し関心を持っている身からしても、それ自体には特に異論がない。

 

とは言え、人文系研究者としては、依然として「本」は様々な局面で重要だし、そこをデジタルも含めてこれまで以上に効率的に扱えるようにすることに取り組んでいただければ、それもまた立派な研究振興だと思う。そして、そこに一番近いのは大学図書館だと思っているし、まだ、機関リポジトリよりは「本」の方が近いのではないかと思う。機関リポジトリを辞めて欲しいと言っているのではなく、それはそれでむしろどんどん頑張っていただきたいのだが、しかし、「本」からわざわざ距離を取ってしまうようなことになってしまうと、これまでそれなりに有してきた大学図書館のアドバンテージを手放してしまうことになりはしないか。大学図書館が困ってしまうというだけなら問題ないようにも思えるが、比較的公益性の高い枠組みの中で割と重要な役割を比較的容易に果たし得るプレイヤーが、その役割を離れて、むしろより困難なところにばかりリソースを注入していってしまうのだとすると、それはやはり社会的な損失だと言わざるを得ないようなことではないだろうか、とも思う。

こういうときに海外の話をすると出羽守などと言われてあまり喜ばれないことも多いのだが、それでも、まだ国内にはあまり強い事例がなさそうなので(この方面は勉強不足なので、あったらぜひ教えていただきたく…)、敢えてちょっと書いておくと、たとえば、HathiTrustみたいに、大学図書館連合でデジタルリポジトリを作ることができれば、人文社会科学系研究にとっては大いに振興になる上に、図書館の存在意義も改めて確認されることだろう。2ヶ月ほど前には東京大学でHathiTrust研究センターの所長さんを招いての国際シンポジウムが開催されていたが、その折には、HathiTrustのデジタル化資料を活用する研究のために研究センターに世界中から研究者が集っていてかなり大がかりなことになっている様子が紹介されていた。これを読まれるような方には釈迦に説法だと思うが、HathiTrustでは、著作権保護期間中の本でもデジタル化・テキストデータ化して、統計情報のみを扱えるようにするという形で研究環境を提供していて、これもまた大きな研究振興につながっているようである。(著作権が切れていない大量の本のテクストデータが、たとえそのまま扱えないにしても、統計処理できるのだとしたら、それだけでも相当に色々な可能性が拓けてくることだろうと思うとうらやましいことである)また、大学図書館連合と言えば、EEBOやECCO等の商用データベースコンテンツのテキストデータを作成共有して最終的にパブリックドメインで公開するプロジェクトTCP (Text Creation Partnership) は、欧米中国の150以上の主に大学図書館が参加している。TCPなどは、当事者達がどれくらい意識しているかはわからないが、まさにオープンデータ・オープンサイエンスの流れに沿ったものになっていると言えるだろう。

 一方、たとえばコロンビア大学の図書館では、人文学研究を支援するための活動が図書館司書達によって割と活発に展開されているようなのが、そのサイトにこんな一節がある。

データベースや高価なソフトウェアを提供するという図書館の役割が個々の研究者にとって大変重要であることは明らかなのだが、一方で、我々は現在、自分自身の手でデータベース(にデータ)を追加したりソフトウェアを開発したりすることや、一般の人々と共同での研究を試みること、そして、新たな方法でデータを収集し共有することに興味を持つようになる研究者の数が増えてきているということについて責任を負わなければならない。

これは人文学系の専門司書による仕事なので、日本だとそのまますぐに持ってくることは難しいとは思う。しかし、日本でも、こういう観点での研究振興のニーズは徐々に出てきているし、それをすくい上げるのに大学図書館はかなり近くて有利で、その固有性を活かせるかもしれないところにいるのではないかという気がする。

 

もちろん、大学図書館のことをよく知らないままに書いていることなので、まったく的外れだったら申し訳ないことだが、そのようなことで、今回、研究振興の文脈における大学図書館の役割、という風に風呂敷を広げるなら、そちらの方への配慮についてどうお考えなのか、時間があれば少しおうかがいできたらと思っている次第である。(しかし今日は打ち合わせが多いので結局おうかがいできない可能性もあるが…)