国会図書館で近デジIIIFコンテンツを使って一緒に地域資料マップを作ってみませんか?

 先日、NDLライブラリーカフェのアナウンスがありました。第2回を私が担当させていただくことになりましたが、これは、次世代開発室の皆さんと暖めてきたもので、地域資料+IIIF+地図年表マッピング、を参加者のみなさんで色々試してみよう、という企画です。

 

 国立国会図書館のデジタル化資料はあまりにも大量にありますが、ありすぎてほとんど埋もれているとしか言い様がない状況でもあります。山のなかから宝を引き出そうと、色々な方々が色々に工夫をしてきているところですが、今回の企画では、とりあえず、引き出したものを一つの地図に載せてしまえば、それはそれでコンテンツとなり得るのではないか、ということが基本的な目論見です。ただし、ここで完成品を作って世間に公開しよう、ということを目標とするのではありません。もちろん、世間に公表できるような、良さそうなものを作ることができればベストですが、主眼は、「こういう風に自分たちでもできる」ということを皆さんが体験してくださることです。ここで使うシステムは、すべてフリーソフトウェアであるというだけでなく、セットアップもかなり簡単で、少しサーバ構築の経験があるような人なら、とても簡単に、「IIIFコンテンツを取り込んでメタデータを適宜修正しつつアノテーションもつけて、それを地図・年表上にマッピングする」というシステムの提供ができるようになってしまいます。つまり、ここで経験したことを、持って帰っていただいて、身の回りの方々や自分の組織で、こういうことに取り組んでみていただけるように、ということを最終的には目指しております。もちろん、必ずそうしていただかなければならない、というわけではなくて、そういう機会があればそうなるとありがたい、というくらいのことですが。

 

今回使うシステムの解説は、こちらのブログ記事にて掲載しております。そして、具体的に作るもののひな形は、以下のような感じです。

仮想コレクション@NDLライブラリーカフェ · IIIF-Omeka Sandbox

 

 いわゆる地域資料には、様々な地域の情報が含まれているにもかかわらず、NDLデジタルコレクションに入っているだけだと、文字検索ができないのでなかなか見つけてもらえず埋もれたままになってしまいがちです。しかし、今回のシステムで、(1)画像を取り込み、(2)アノテーションを付けると、そのアノテーションGoogleなどの検索エンジンから検索してもらえるようになります。ですので、画像上に、皆にみつけてもらいたい箇所だけでもアノテーションを付与しておけば、一気に発見性が高まります。たとえばこういう感じです。(うまくいくといいですが・・・。)

 さらに、2つ上のURLの例のように、地図・年表上にマッピングすれば、地図を提示することで、地図を介して色々な形でみていただくことができるようになります。NDLデジタルコレクションのデジタル化資料は、著作権保護期間満了の資料がほとんどなので、どうしても古い情報ばかりになってしまいますが、しかし逆に、戦前はどうだったのか、ということを示したり確認したり共有したりするにはとても良い素材であるように思われます。意外と我々には伝わっていない事も結構あります。そのような情報を、地図・年表から見ていくことができれば、地域への親しみ方もまた少し変わってくるかもしれません。

 

 そこで、このライブラリーカフェでは、主に、旧近代デジタルライブラリー(古典籍ではない)の、地域に関する資料を使って、アノテーションや地図年表マッピングをしていただきたいと思っております。そして、それにあたっては、いったん、皆さんが扱いたいと思うデジタル化資料をIIIF対応に変換します。以下のURLなどから、使ってみたい資料のURLを確認して、申込時に書き込んでいただけますとありがたいです。あるいは、後からでしたら、筆者に何らかの形で連絡していただけますと幸いです。

 

国立国会図書館デジタルコレクション - 地域の歴史に関する資料(都道府県ごと)

の「1. インターネット公開のみを検索」から、資料を探していただけると大変ありがたいです。

 

このシステムは、ジョージ・メイソン大学がフリーソフトウェアとして作成公開しているOmekaに対して、地図年表マッピングのためのプラグインとしてヴァージニア大学図書館スカラーズラボが作成したNeatline、IIIF対応ビューワとしてアノテーションを作成できるようにとスタンフォード大学ハーバード大学等が作成したフリーソフトMirador、それらをつないで利用者が簡単にその恩恵を受けられるようにとトロント大学図書館が作成したOmekaのプラグインIIIF Toolkit with Miradorという構成になっています。細かいところを見ていけば、さらに色々ありますが、いずれにしましても、北米で取り組まれてきているオープンソースの文化資料エンジニアリングの集大成とも言えるような感じになってきています。これらを作ってくださっている方々、資金提供してくださっている方々に感謝しつつ、やはりバリバリ使い込むのが最大の感謝の表現だということで、皆でどんどん使っていくのがよいだろうと思います。そこで、ぜひ、ライブラリーカフェにお越しいただいて、皆で使い込んでみつつ、持ち帰ってこれをさらに色々試していただき、デジタルアーカイブの可能性を追求する一助にしていただけたらと思っております。