ようやく刊行にこぎつけました:『日本の文化をデジタル世界に伝える』

『日本の文化をデジタル世界に伝える』というやや大仰なタイトルの本を刊行することになりました。

www.jusonbo.co.jp

京都大学人文科学研究所で共同研究班をやらせていただいた時の成果物の刊行という位置づけのものですが、終了後、かなり時間が経ってからの刊行となりました。共同研究班が終了する頃にIIIFが流行り始めたりTEIの日本語圏への導入が本格化したりましたので、その後の状況もかなり追記しております。共同研究班で議論してきたことをまとめたものではありますが、執筆は一人で行いましたので、基本的に私の主観がかなり入っており、議論そのものを忠実に反映したとは言えない面があります。また、わかりやすさの優先や私の理解不足から、記述に甘いところや間違いなども含まれていると思いますが、それらについてはすべて私の責任ですのでご容赦ください。

本書の目次は以下のようになっています。

第1章 「デジタル世界に伝える」とは

第2章 デジタル世界への入り口

第3章 利便性を高めるには?

第4章 デジタル世界に移行した後,なるべく長持ちさせるには

第5章 可用性を高めるための国際的な決まり事:IIIFとTEI

第6章 実際の公開にあたって

第7章 評価の問題

第8章 研究者の取り組みへの評価の問題

いわゆる文化資料に関わるデジタルアーカイブの構築についての技術論です。といっても、数式やプログラミングの話はほとんどでてきません。基本的に、「技術をどう使うべきか。どう使った方がいいか」という話に徹しています。というのは、現在の日本のデジタルアーカイブの議論では、技術論をもう少しきちんと踏まえた方がよいと考えているのですが、議論のためのたたき台のようなものがあまり十分でないように感じておりまして、そのたたき台を提供することを一つの目標としたのでした。

本書の編集主体である共同研究班のメンバーの方々は、私も含めて、研究開発や実運用の経験をベースにそういう議論をずっとしてきたコミュニティに色々な形でつながっていて、議論の蓄積もかなりあり、それらは主に、情報処理学会・人文科学とコンピュータ研究会の研究報告・シンポジウム論文集や、「東洋学へのコンピュータ利用セミナー」の発表論文集などに散在しています。しかしながら、その蓄積は、30年以上にわたって書かれてきた1000件以上の玉石混交の論文・研究報告から成っているものであり、たとえばデジタルアーカイブに関わる方々が皆、有用な情報を求めてそれらを読み始めなければならないという状況はあまりにも無茶なことです。本書は、そのような背景から、文化資料デジタル化に関する今後のデジタルアーカイブ構築の議論において有用と思われる要素をピックアップして紹介してみております。言い方を換えると、これまであちこちで色々な相談をいただくなかで、よく聞かれるポイントをなるべく押さえています。(ですので、このブログに書いてあるような事柄もかなり含まれています。特にこのブログをよく読んでいる人には既知のことが多いと思いますが、まとまった話として読めるという点では有用かと思います。)

 なお、構築、というのは、応用に関することはまた別途執筆する予定がありますので、ここでは構築に限っているということであり、したがいまして、いくつかの先進的な応用事例の話は出てきません。また、「デジタルアーカイブ」という言葉をタイトル等に出さなかったのは、デジタルアーカイブの重要な要素であるコミュニティアーカイブや重文国宝級資料のデジタルレプリカアーカイブ等の話にほとんど触れていないためです。ただ、話としては通じることも色々あると思いますので、そういったことに取り組んでおられる方々にも目にしていただけるとありがたいと思っております。

IIIF画像同士を重ねてみるViewerを作りました:その1・機能の紹介

先週、数人の知り合いの人文系開発者の方々と、一緒に集中的に開発やデータ作成をしようということで、南房総の方で合宿をしてきました。年甲斐もなく、自分も開発に集中してしまったのですが、どうしてもよくわからなかった事柄の理解を中心に、かなり集中することができまして、ようやく、IIIFの画像同士をWebブラウザ上で重ねるという、これまで目指していたものの一つができました。

とにかく、見ているIIIF画像をピックアップしてためておいて、重ねたい対象に重ねて位置合わせをする、というだけのものです。が、言うは易し。誰かがこういうものを作ってくれるだろうなと ずっと待っていたのですが、なかなか出てこないので、結局自分で作ってみることにしたのがこちらです。

youtu.be

同じIIIFコンテンツ内でも、複数のIIIFコンテンツ同士でも、重ねて位置合わせをしたり透過度を調整したりすることができます。重ねた画像に関しては、まとめてJSONデータとして 出力するようになっていますので、これをテキストエディタに保存しておけば、同じビューを再現して、さらにそこから重なりや透過をいじることができます。

youtu.be

実際のサイトは以下のURLなのですが、これは全部Javascriptで書いてますので、サーバ上でなくてもパソコン上でも動作します。

http://candra.dhii.jp/nagasaki/iiifoverlay/viewer.html

たとえば、このサイトで、「Open JSON Window」ボタンをクリックしてウインドウを開いて、以下のJSONデータをコピペして「Load JSON」ボタン⇒「Set Positions」ボタン クリックしていくと、上記の曼荼羅+大日如来2つの透過重ねが再現できて、自分でも色々いじることができます。

{
    "@context": "http://iiif.io/api/presentation/2/context.json",
    "@type": "sc:Manifest",
    "@id": "https://dzkimgs.l.u-tokyo.ac.jp/iiif/zuzoubu/12b02/manifest.json",
    "label": "大正新脩大藏經図像部第12b02巻",
    "metadata": [
        {
            "label": "Author",
            "value": "高楠順次郎"
        },
        {
            "label": "published",
            "value": [
                {
                    "@value": "大蔵出版",
                    "@language": "ja"
                }
            ]
        },
        {
            "label": "Source",
            "value": "大正新脩大藏經 図像部"
        },
        {
            "label": "manifest URI",
            "value": "https://dzkimgs.l.u-tokyo.ac.jp/iiif/zuzoubu/12b02/manifest.json"
        }
    ],
    "description": "大正新脩大藏經図像部",
    "viewingDirection": "right-to-left",
    "viewingHint": "paged",
    "license": "http://creativecommons.org/licenses/by-sa/4.0/",
    "attribution": "大蔵出版(Daizo shuppan) and SAT大蔵経テキストデータベース研究会(SAT Daizōkyō Text Database Committee) ",
    "logo": "https://dzkimgs.l.u-tokyo.ac.jp/iiif/zuzoubu/satlogo80.png",
    "sequences": [
        {
            "@id": "https://dzkimgs.l.u-tokyo.ac.jp/zuzoubu/12b02/sequence.json",
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            "label": "Current Page Order",
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                    "label": "p.24:図像抄",
                    "width": 6732,
                    "height": 8984,
                    "images": [
                        {
                            "@id": "https://dzkimgs.l.u-tokyo.ac.jp/iiif/zuzoubu/03/ano0024",
                            "@type": "oa:Annotation",
                            "motivation": "sc:painting",
                            "resource": {
                                "@id": "https://dzkimgs.l.u-tokyo.ac.jp/iiifimgs/zuzoubu/03/0024.tif/full/full/0/default.jpg",
                                "@type": "dctypes:Image",
                                "format": "image/jpeg",
                                "width": 6732,
                                "height": 8984,
                                "service": {
                                    "@context": "http://iiif.io/api/image/2/context.json",
                                    "@id": "https://dzkimgs.l.u-tokyo.ac.jp/iiifimgs/zuzoubu/03/0024.tif",
                                    "profile": "http://iiif.io/api/image/2/level1.json"
                                }
                            },
                            "on": "https://dzkimgs.l.u-tokyo.ac.jp/iiif/zuzoubu/03/p0024"
                        },
                        {
                            "@id": "https://dzkimgs.l.u-tokyo.ac.jp/iiif/zuzoubu/01/ano1000",
                            "@type": "oa:Annotation",
                            "motivation": "sc:painting",
                            "resource": {
                                "@id": "https://dzkimgs.l.u-tokyo.ac.jp/iiifimgs/zuzoubu/01/1000.tif/full/full/0/default.jpg",
                                "@type": "dctypes:Image",
                                "format": "image/jpeg",
                                "width": 6732,
                                "height": 8984,
                                "service": {
                                    "@context": "http://iiif.io/api/image/2/context.json",
                                    "@id": "https://dzkimgs.l.u-tokyo.ac.jp/iiifimgs/zuzoubu/01/1000.tif",
                                    "profile": "http://iiif.io/api/image/2/level1.json"
                                }
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                            "on": "https://dzkimgs.l.u-tokyo.ac.jp/iiif/zuzoubu/03/p0024#xywh=2818,3699,985,1314",
                            "license": "undefined",
                            "attribution": "undefined"
                        },
                        {
                            "@id": "https://dzkimgs.l.u-tokyo.ac.jp/iiif/zuzoubu/03/ano0024",
                            "@type": "oa:Annotation",
                            "motivation": "sc:painting",
                            "resource": {
                                "@id": "https://dzkimgs.l.u-tokyo.ac.jp/iiifimgs/zuzoubu/03/0024.tif/full/full/0/default.jpg",
                                "@type": "dctypes:Image",
                                "format": "image/jpeg",
                                "width": 6732,
                                "height": 8984,
                                "service": {
                                    "@context": "http://iiif.io/api/image/2/context.json",
                                    "@id": "https://dzkimgs.l.u-tokyo.ac.jp/iiifimgs/zuzoubu/03/0024.tif",
                                    "profile": "http://iiif.io/api/image/2/level1.json"
                                }
                            },
                            "on": "https://dzkimgs.l.u-tokyo.ac.jp/iiif/zuzoubu/03/p0024#xywh=2814,3708,1023,1366",
                            "license": "undefined",
                            "attribution": "undefined"
                        }
                    ],
                    "otherContent": [
                        {
                            "@id": "https://dzkimgs.l.u-tokyo.ac.jp/iiif/zuzoubu/03/list/p0024.json",
                            "@type": "sc:AnnotationList"
                        }
                    ]
                }
            ]
        }
    ]
}

まだまだ色んな機能を追加できる可能性がありますので、どなたか頑張ってくださったらありがたいとも思っております。

頑張ってくださるどなたかのために(企業の方でもぜひ挑戦・採用などしていただけるとありがたく思います)、今回苦労した部分を少しご紹介しておきたいと思います。

基本的に、苦労したことの大半は、IIIFのタイル画像表示をしてくれるOpenSeadragonのAPIの仕様を理解すること だったので、少しずつご紹介してみたいと思います。

まず、複数のIIIFタイル画像を一つのビューワで表示する関数なのですが、透過度0.7で左上位置をそろえて 表示させる場合、以下のようにしてできるようです。imgUriは、何か適当に info.jsonのURLを入れればOKです。

viewer.addTiledImage({
          tileSource: imgUri,
          opacity: 0.7,
          index:10,
          x:0,
          y:0
        });

重ねた画像の位置を変える際には

viewer.world.getItemAt(n).setPosition({x:0,y:0.5});

という感じにするのですが、タイル画像を重ねていくと、最初のタイル画像がn=0で、 それに一つ重ねるとn=1、二つ重ねるとn=2、という風に増えていきます。 同様に、nの値をあわせることで、透過度や画像のサイズも変えられます。ただし、縦横比を変えるのは ちょっと無理っぽい感じでした。

viewer.world.getItemAt(n).setOpacity(0.8);
viewer.world.getItemAt(n).setWidth(1.5);

OpenSeadragonのハマりやすいポイントの一つは、画像の横幅に対する相対値として縦横幅高さ(x,y,w,h)の値が表現されるという点です。 ですので、とにかく画像の横幅のサイズを取得する必要があります。これは以下のように getContentSize().x で取得できます。

viewer.world.getItemAt(n).getContentSize().x; 

なお、「重ねた画像の位置を動かす」際に、元の画像を動かさずに重ねた画像の位置だけをドラッグで動かす方法については 色々試したのですが、結局のところ、「重ねた画像を動かす際には viewer.setMouseNavEnabled(false); で 元画像や他の重ねた画像の動きを全部止めて重ねた画像の位置だけをjQueryで動かす」という風にしました。

とりあえず、今夜はこんなところにしておきます。

サーチしないジャパンサーチ(BETA)~ジャパンサーチを探検 その6

前回記事の最後で触れたように、検索しない使い方も提供されているようですので、少し気分を変えて、検索しない場合はどういう風に使えそうなのか、ちょっとみてみます。

「ジャパンサーチ」と言われると、検索窓を探してしまいますが、その名前を忘れてみて、たとえば、「これは検索サイトではない、ジャパンコンテンツだ」などと念じながら ジャパンサーチのページを開いています。そうすると、少し気持ちが変わって、扉ページで提供されているものをじっくりみてみようか、と思うようになりました。

まずは扉絵を見ていると、じわーっと動いています。解説もついています。なぜこのコンテンツが選ばれているのかよくわかりませんが、 なかなかよい文化資料ですね。しばらく見ていると次の画像に切り替わって、またじわーっと動いていきます。この動き方は、 資料にあわせてカスタマイズしているのでしょうかね。掲載時に、簡単にこの動き方の設定ができるようになっているといいですね。 一次停止ボタンとか次の画像に移るボタンもありますが、次の画像に移るボタンは、扉の絵がたくさん提示されるようになることも 想定されているのでしょうかね。蓄積されていくとどうなるでしょうね。また、「あのとき見た扉絵」というのが、あとから 再確認できるとありがたいかもしれないですね。誰かの物語の一部になるかもしれません。扉絵をクリックすると扉絵の コンテンツ情報が表示されたりお気に入りボタンも出てきたりするので、自分でノートにメモしておくことはできそうですね。 ただ、このノートのデータ、LocalStorageに入れておくだけだと、持続性とか再利用性とかちょっと難しいですが、 今後はどうなるでしょうね。

その下にいくと「ギャラリー」というのがあります。「富士山」「もう一つの東京オリンピック」など、お役立ち情報とともに デジタルアーカイブ画像が引用されたりしているようです。これもなかなかいいですね。デジタルアーカイブの活用の 仕方の模範的な例だと思います。ただ、このあたりになると、むしろ、書籍や雑誌のような有料コンテンツと 競合してしまわないだろうか、というあたりが少し気になります。競合と言っても、無料であれば有料とは競合には ならないのですが、有料コンテンツにお金を払う人がますます減るのではないかという気もします。お金が回らなく なると、それでやっていくプロが減っていってしまうので、全体としての質の向上もやや難しくなっていくような 気がします。いずれは無料コンテンツが世界を制覇するのかもしれないとは思いますが、そうだとしても、 プロが急激に減ってしまうよりはプロとの共存期間を経て無料コンテンツが鍛えられていくような流れがあると いいのかなとも思います。また、利用は無料でも制作者はどこかからお金をもらう、という在り方ももちろん ありますし、ギャラリー制作者はお金をもらっている(人もいる)かもしれませんが、そうすると今度は、 お金を払う人に内容が多かれ少なかれ制限されてしまわないかなということも気になります。本件一つをもってどうこうという わけではないのですが、全体的な流れとして、オープンデータ・オープンアクセス・オープンサイエンス といったことについて考えてみると、有料であることによって保たれてきた自由や質の在り方が、 今後ずいぶん変わっていくのだろうとも思います。

さて、話が少し脱線しましたが、もう一つ気になるのは、Wikipediaとの関係でしょうか。正直に言えば、 Wikipedia大好きです。特に、よく採り上げられますが、「地方病 (日本住血吸虫症) - Wikipedia」の記事は最高です。近代日本の医療の歴史だけでなく、甲陽軍鑑や明治期の薬の広告、地図、統計情報等々、Web上のマルチメディアコンテンツ を縦横無尽に駆使した圧倒的な記事です。結構昔からこの記事を何度も読んでいますが、着実なアップデートを重ねて、 新たなWebコンテンツもあれこれと吸収しながら現在に至っているという点も素晴らしいことです。 この記事などはジャパンサーチの「ギャラリー」に載っていても全然おかしくないものではないかと いう気がします。

経験上、似たようなものがあれば1つにまとめればよいという考え方は必ずしも適切であるとは限らないと 思っておりまして、むしろ、似たようなものが複数共存することで相互に高め合っていけるとよいのではないかと 思っております。似ていることが、双方の目的意識を先鋭化してレベルアップにつながるということも 多々あるように思います。ですので、似ているからと、どちらかにしてしまえ、ということではないのですが、 何かこう、よいものは何らかの形で連携できるといいのかなあ、とは思っております。

また、「ギャラリー」に今後何を載せていくか、ということも気になるところです。個人的に関心のあることが 掲載されてくれるとありがたいとは思いますが、時事的なことでデジタルアーカイブを渉猟する時間がないとき など、「ギャラリー」で適宜情報を集めて掲載しておいてもらえると、見やすくなってありがたいとも思います。 ただ、そういう情報にお金を払わなくて済んでしまう世界というのは、どういうことなんだろうか、ということも 考えてしまうところです。個々の画像は著作権切れてますし、情報収集の費用を低減させることでより広い 読者に情報提供できるようにして教育・学習の機会を増やしていくことは大事ですし、ネットにばらまかれる 色々なおかしなデマ情報に対抗するためには、きちんとした情報にも無料でアクセスできるようにすることは 大切です。ただ、個々の読者ではなく、スポンサー側(この場合政府自治体も含む)が執筆の対価を支払う(= 執筆者の選択や執筆内容にも発言力を持つ)という世界がどういう方向に進んでいくのか、ということは やはり注意しておかざるを得ないだろうと思っております。もちろん、クラウドファンディングとかもあります ので、場合によってはそういう方向を考えることになるのだろうかとも思いますが、いずれにしても、紙媒体を前提とした 商業出版が形成していた世界とはかなり違ったものになっていくのでしょう。

さて、脱線が続いてしまいましたが、「ギャラリー」は色々見られてよいですね。こんなコンテンツがあるなら、 こういうコンテンツもないだろうか、と、ジャパンサーチ自体を検索してくれる人も出てくるかもしれません。 さあ、検索・・・と、右上の虫眼鏡アイコンをクリック、でしたね。やはり、すぐに検索にいけるようになって いるとありがたいですね。

それと、ジャパンサーチはコンテンツがどんどん増えていくという前提だろうと思いますので「ギャラリー」も それに応じて、時々でもアップデートできるとありがたいですね。あるいは、細々追加するのはどんどん 大変になっていくので、むしろ、新規登録コンテンツを見て 関連する情報があればサジェストするようなものをユーザ向けページに組み込んでおくという手もある かもしれないですね。「この記事の執筆以降に追加された関連コンテンツ」のような項目で。 そうすると、メタデータ項目として「ジャパンサーチに追加された日時」もあると便利でしょうかね。

というわけで、きれいなものを見て心が洗われたような気持ちになっていますが、ジャパンサーチ(BETA)をサーチしないでの探検はこれくらいに しておきたいと思います。

ジャパンサーチ(BETA)を探検 その5 少しマニアックな使い方

これまでの記事に引き続き、ジャパンサーチ(BETA)の探検です。再び、検索してみようとしますが、こういう風にして使ってくると、検索がメインのサイトではないというメッセージなのではないか、という気がしてきますね。実際にそういうところを目指しているのかもしれません。そうすると、細々と検索するユーザは微妙にお呼びでないのかな・・・という気もしてきますが、それでも検索できますので、見捨てられたわけではないと思って再びやってみます。一応、簡単なframeで検索できるようなラッパーを作ってみようとしましたが、セキュリティの関係で、外部サイトからframeで読み込めないように設定されているみたいで、残念ながら、そんな簡単な回避策は許されないようでした。まあ、何かブラウザブラグイン的なものを作ってしまえばよいのだろうとは思います。どなたか、ささっと作ってくださるとありがたいですね。

ということで、再び、ジャパンサーチ(BETA)の検索インターフェイスにて、今度は、少しマニアックな感じで資料を探してみます。2-3世紀くらいの仏教思想家、龍樹で検索してみます。この人は、インドの人なので、本名はサンスクリット語でナーガールジュナという名前なのですが、中国にてこの人の著作が翻訳された際には龍樹or竜樹と表記されて、日本にもその名前で伝わっています。というわけで、それぞれの名前で検索してみます。龍樹と竜樹は1,586件、ナーガールジュナは35件、nagarjunaは322件、Nāgārjunaは107件、नागार्जुनは2件でした。インドの人でもこれだけの情報がジャパンサーチに入っているというのは、日本の知的関心の幅広さを示しているようでありがたいことですが、とりあえず同じ人の名前なので、まとめて引けるとありがたいですね。VIAFだと http://viaf.org/viaf/8711937 ですので、ここから別名情報をとってくるという手もあるかもしれませんね。

ちなみに、ここまでと違って、仕事で使うこともあるので、ウェブ公開でないコンテンツでも、有用そうなものがあれば入手のための手続きなどもしていいような話です。そこで、まずは「龍樹」の検索結果にてファセットを眺めてみます。検索結果の内容を想像するには、「データベース」「カテゴリー」「サブカテゴリー」あたりが有用でしょうか。「サブカテゴリー」で「古典籍 1」となっているので、とりあえず選んでみます。と、「京都大学附属図書館 立命館大学アート・リサーチセンター」というところのものがヒットします。タイトルは「五蔵論・龍樹菩薩眼論・香譜」となっていますので、このタイトルでヒットしたのでしょう。リンクをたどってみると、所蔵機関 京都大学附属図書館、連携機関 立命館大学アート・リサーチセンター、という風になっています。デジタルコンテンツの二次利用条件は、教育利用○、非商用利用○、商用利用×、となっています。リンク先の「ARC古典籍ポータルデータベース」に行くと、「国文研検索」「NIJL閲覧」等のボタンが表示されていて、ボタンをクリックすると、国文学研究資料館のサイトにジャンプするようです。原所蔵者は京都大学附属図書館、となっています。あれ?と思って、京都大学附属図書館のデジタルアーカイブの方で「龍樹菩薩眼論」で検索すると、2件ありました。こちらのサイトでは、利用条件は「画像二次利用自由(所蔵表示)」という風になっていました。本家サイト(?)で付与されている利用条件もジャパンサーチで確認できるようになっているといいですね。なお、この資料の画像は、国文学研究資料館でも見られますが、本家の京都大学附属図書館のサイトの方がさくさく閲覧できるような感じです。また、京大附属図書館では2件ヒットするところがジャパンサーチでも国文学研究資料館の検索でも1件しかヒットしないので、新しくデジタル化されたメタデータがまだ共有されていないということなのでしょうか。ここら辺は、最新情報と同期させられるとよいのですが、京都大学図書館のメタデータがジャパンサーチにもう少しダイレクトに流れるようになるとよいのでしょうか。

内容については、京大図書館の富士川文庫に入っているとのことですので、おそらくは医学書です。ざっと見た感じだと、目の病気についての解説書のように思えます。さて、これは果たして、今回目指している(VIAFで指している)龍樹の著作だろうか、ということも少し気になりますので、もう少し詳しい情報はないものかと思って「龍樹菩薩眼論」でジャパンサーチで検索してみましたが、特に他にヒットしないようです。では・・・と思ってGoogleで検索してみると、色々ヒットする中に、「ナーガールジュナと医術--『龍樹眼論』の成立と展開 」という論文PDFがみつかりました。CiNiiでも論文情報はヒットしますが、論文PDFへのリンクは張られていないようです。これをざっと読んでみると、龍樹に仮託されたインド医学書の中国語訳のようです。やはり、古典籍のようなものは、このようにして解説してくれている論文を読むことができるとずいぶん扱いが楽になります。(というか、こういうものがなければ、ジャパンサーチで見つかる貴重なコンテンツをうまく扱うのはちょっと難しいのではないかという気もします)

ということで、これは、現在検索している龍樹とは直接には関係ないようであることがわかりましたので、次に行きましょう。コンテンツをウェブ公開に限定してみると、「大智度経論巻第六十九」という、これも龍樹に帰せられている資料がColBase提供コンテンツとしてリストされているので、このコンテンツ情報ページに行ってみます。デジタルコンテンツの二次利用条件はColBaseですのでCC BY相当ですね。「解説」を見ると石山寺旧蔵の写本となっていて、すべてのメタデータを表示してみると「銘文等」の項目に「天平六年歳次十一月二十三日 針間国賀茂郡既多寺衣縫造男国書写奥書 白点朱点あり」となっています。これはなかなか貴重な感じの資料ですね。そこで、ColBaseに行ってみます・・・と、京都国立博物館の所蔵品で、画像も3つ表示されていますが、これは巻物の最初と途中と最後の三枚だけを表示しているようで、全体像はわからないようです。こういう場合、奥書さえ見られればいい人には十分ですが、本文まで見たい人には結局内容はわからないので、デジタルコンテンツありとすべきかどうか、悩ましいところです。また、 奥書には天平六年…写と書いてあるので、天平六年という年号はメタデータとして拾っておくことができてもいいかもしれませんね。これは、たとえば、HuTimeの暦変換サービスにこの奥書を読み込ませれば、「C.E. 0734-12-22」を返してくれますので、そういうものを適宜フックするような仕掛けができるといいかもしれませんね。針間国賀茂郡既多寺という地名も、オープンデータとして提供されている歴史地名データを見ると播磨國 賀茂郡というところまでは位置情報がとれました。ググってみると、兵庫県加西市殿原町の殿原廃寺に比定されているという情報もありますので、地図上での座標情報もとれそうですね。ちなみに、他に既多寺にまつわる資料はジャパンサーチにはないのかな、と思って検索しようとしてみますが、そうするとやはり、ドラッグしてテキスト選択すると検索ボタンがポップアップする、というインターフェイスがあると便利ですね。現状だと、右上の虫眼鏡アイコンまでマウスポインタをドラッグしなければなりません。タブキー押し下げで検索窓表示&フォーカスでもいいんですが、今、ここのテキストをいじっているタイミングだと、タブキー押し下げでそうなるのはかえって直感に反しているような気がするので、ここはやはりポップアップ検索ボタンがほしいところです。

既多寺で検索すると、出ますね。奈良国立博物館所蔵の大智度論 巻第六十六(播磨国既多寺知識経)も表示されます。こちらはメタデータのところに 「時代世紀」という項目があって、「奈良時代・天平6(734)」と記載されていました。機械可読にもなっているといいですね。(あるいは、今のところは この文字列をパースするしかないでしょうか?)一方、先ほどのものとは違い、奥書の情報はありませんでした。が、リンク先のColBaseの 当該ページに掲載されている画像は見ることができました。それによると、十一月二十三日写となっていました。京都国立博物館のものと同じ日ですね。 残念ながら、こちらも画像は部分的にしか提供されていませんでした。

既多寺の大智度論で見てきましたので、他にもないのかなと思ってググってみると、 神戸市立博物館に、巻第九十一があるようです。 拡大表示もできると書いてあるのでわくわくしながらクリックしてみると、「Adobe Flash Playerはブロックされています」。めげずにFlashを許可して表示してみると、 奥書には同じ日付が書かれていました。そういえば筑波大学図書館にも似たようなものがあったなと思って見てみると、こちらもFlashで、巻第七十でした。それから、島根大学のは巻第六十二、巻第六十七 みたいですね。島根大学のはIIIFにも対応しているものもあるので、ジャパンサーチにも入ると見やすくなりそうですね。京大にも巻第四十があり、こちらもIIIFに対応しています。なお、IIIF対応のものに関しては、こちらのサイトで「大智度論」で検索するとリストされるようになっています。

ジャパンサーチでの「既多寺」の検索結果リストでは、全国書誌というデータベースからもヒットしてますので、律令国家史論集という本のコンテンツ情報ページを開いてみますと、既多寺の表記はありません。あれ?と思って メタデータをすべて表示してみると、色々表示されるのですが、文字が多い上に詰まっていてなかなか見つけられません。こんなときはページ内検索です。 ・・・というわけで、みつかりました。内容細目で「既多寺大智度論と針間国造」というのがありました。かなりばっちり、この写本をめぐる状況に ついての情報が得られそうです。著作権が切れている本ではないので、ウェブで見るのは諦めた方がよさそうです。ですので、 ここから先、近くの図書館に蔵書がないか探してもよいのですが、買ってもいいような気がするので、 日本の古本屋サイトで検索してみます。・・・もうちょっと安ければ買ってもよかったですかね。しかし、きちんと理由付けをした上で、全国書誌のデータベースや NDLデジタルコレクションのコンテンツ情報ページからは、日本の古本屋サイトへのリンクを張っておいていただくと、便利で、かつ 市場活性化にもつながるのではないかと思ったところでした。(新刊本もなんとかできるとなおよいかもしれませんが。) 既多寺でググってみると、他にもいくつか論文等がヒットしますので、そういうのも見てみるとより理解が深まりそうです。

という感じで色々調べていくことができますが、そうすると、調べたことを残しておいて、他の人にも使えるようにできると楽かもしれません。 論文の内容をそのままコピペすることはできませんが、要約くらいで、きちんと参照元も記載しておくなら、有益な情報提供ということに なるでしょう。ジャパンサーチ(BETA)としては、そういうことも視野に入れているように見えますので、次回はそこら辺にもう少し注目してみましょう。

ジャパンサーチ(BETA)を探検 その4 鯰?ナマズ?

ジャパンサーチで古地図を探してみたり仏像を調べて見たりしました。こういった文化的なものとは別に、ジャパンサーチでは生物関係の資料も豊富のようです。個人的には、魚や両生類は少々好きなので、少しそういう方面からの検索もしてみます。

というわけで、また、ジャパンサーチのサイトにアクセスして右上の虫眼鏡アイコンにカーソルを持って行って・・・(と、何度も同じ事を書いていてうっとうしいと思われる人もそろそろおられると思いますが、実際にその操作を毎回している私にはもっとうっとうしくて、やや苦痛になってきています。もし、このデザインを維持することが至上命題なのであれば、非タッチパネル利用者に向けて、せめてタブキー押し下げで検索窓が開いてフォーカスが入るようにしていただきたいです)・・・まずは「鯰」で検索してみます。そうすると、1,454件見つかるのですが、浮世絵っぽいものがたくさんヒットしています。ファセットの「データベース」を見ても、国立国会図書館デジタルコレクションとかARC浮世絵ポータルデータベースなどが大量にヒットしています。これだと文化資料っぽい感じです。そこで、今度はカタカナで「ナマズ」で検索してみます。そうすると、ヒット数は3,472件になる上に、データベースの項目の一番上に「サイエンスミュージアムネット 2792」がリストされています。これですね。カテゴリーの項目にも「自然史・理工学 2851」となっています。試しに一番上にヒットしているアイテムをクリックしてみると、「魚類写真資料データベース」へのリンクが表示され、ボタンをクリックすると少し大きな写真画像が表示されます。利用条件については、ちょっとわかりにくいですね。教育利用・商用利用・非商用利用のいずれも「-」となっていて、OKかダメなのかよくわかりません。「収録されているデータベース」の「魚類写真資料データベース」のリンクをクリックすると詳しい情報が表示されますが、そこには「個々の写真の著作権は神奈川県立生命の星・地球博物館または撮影者に帰属します」というような記述があります。「または」となっているので、利用の確認は、まず神奈川県立生命の星・地球博物館のお手を患わせなければならないような感じで、なかなか大変そうですね。メタデータについてはCC0となっていますので、これを使って何かできると面白いのかもしれません。メタデータに含まれる撮影者の名前で検索してみると非常にたくさんの写真を撮ってらっしゃる人であることがわかります。

サイエンスミュージアムネットの方も見てみましょう。これについては、まずは公式サイトの方をみると大体概要がつかめそうな感じです。これによると、「標本情報」と「採集に関する情報」が入っているようですので、ジャパンサーチでヒットしているものこれらの情報なのでしょう。メタデータを見てみると、 採集した場所とおぼしき地名も出てきます。おそらくは、こういうものを地図上にマッピングしたり最終日時を年表上に載せてみたりなど、こういったデータを使って色々やっている人もおられるのではないかと想像されるデータの整備状況です。ただ、メタデータの利用条件は、こちらにアクセスしてみると「データセットによりCC0あるいはCC BYあるいはCC BY-NC。詳細は利用規定参照。」という風になっていて、この業界の外の人間だとちょっとよくわからないですね。(複数のデータセットの組み合わせであることがこの利用条件からは推測できますがジャパンサーチのサイトでみているだけだとよくわかりません。)

このあたりは、利用条件の整備と、やはり、出典情報として記載すべき内容のわかりやすい表示があるとありがたいですね。

それから、まったくの素人なので的外れなことを気にしているかもしれないのですが、メタデータとして記載されている生物の分類は、時々変更されて、データとしても書き換える必要がでてくるのではないかということが少し気になっています。もしそうであるなら、ジャパンサーチ上のメタデータとの同期をどういうワークフローで行うか、によって、ジャパンサーチのデータの信頼性やそれに基づく扱い方に違いが出てくるのではないかというような想像をしております。一度ダウンロードしたデータはずっと使って大丈夫なのか、あるいは、時々同期をとって更新した方がいいのか、そうだとすると、更新頻度やタイミングはどうすればいいのか、といったあたりが、門外漢としてデータを扱ってみようとする場合に、どうしても気になるところです。特に、オープン・サイエンスやシティズン・サイエンスといった枠組みを意識するのであれば、そういう情報にアクセスしやすくしておくことも有益かと思われます。

なお、素人的な感想で恐縮ですが、「ナマズ」と「鯰」でヒットするものが全然違うというのは実に面白いですね。通常、シソーラス検索的な機能を導入することで、「鯰」でも「ナマズ」でも同じものがヒットするようにしてしまうものなのですが、ベータ版だからなのか、敢えてそうしているのかはわかりませんが、カタカナと漢字が資料を扱う立場の違いを明瞭に表す典型例のように思えました。こうなってくると、「鯰」と「ナマズ」に限らず、漢字とカタカナの検索を区別できる機能用意しておくことで利用者の「発見」を促すことができたりして、面白さが増すかもしれませんね。

ジャパンサーチ(BETA)を探検 その3

前回に続き、素人路線ということで、もう少し薬師如来像についてジャパンサーチ上での探検を続けてみます。

「薬師如来」だと1,213件なのですが、「薬師如来像」で検索すると318件になります。なるほど、像かそうでないかで違うのか、 と思いきや、「薬師如来立像」もヒットしてないようです。これは、少し考えてみると当たり前のことではありますが、油断は禁物ですね。 こういうのも「像」⇒「立像」というようなあいまい検索ができるといいのかなあ、とは思います。曖昧検索も、 カスタマイズできたり、ユーザグループで類義語辞書を共有できたりするとなおよいのかもしれません。 ただ、この場合は「薬師如来 像」でAND検索することで960件となって「薬師如来立像」も検索できましたので、当面、利用者側としては AND検索で切り抜けることを考えるといいのかもしれません。

さて、薬師如来像で960件ヒットしたので、ここから何か面白いことはできないかなともう少し考えてみます。960件だと、 1つ1つみていくべき数ではありません。そこで再びファセットに注目してみます。Webで見られないコンテンツを見に行ったり 利用請求したりするような濃いユーザではありませんので、とりあえず再び「コンテンツ公開」の項目で「ウェブ公開 112」 を選んでみます。なんとなく見てみたいのは仏像ですので、仏像の画像を見られそうなのはどれかな…と思って ファセットを眺めてみると、「カテゴリー」のところで「美術 20」「文化財 19」といったものがあります。二つまとめて 選んでみたいですね。とりあえず「美術」をクリックしてみると、20件絞り込まれます。しかしここでなんと、 「カテゴリー」を改めて見てみると、「文化財 19」というのもまだ残っています。この場合、おそらく、 カテゴリーの欄に美術かつ文化財という情報が並記されているレコードが19件あるということなのでしょう。 そして、「データベース」の項目を見ると「ColBase 19」「ARC 浮世絵ポータルデータベース 1」となっています。 せっかくですので、まずはARC 浮世絵ポータルデータベースの方をみてみましょう。コンテンツ情報ページを見ると 「所蔵機関」は「東京都立中央図書館」となっています。「連携機関」が「立命館大学アート・リサーチセンター」、 「収録されているデータベース」は「ARC浮世絵ポータルデータベース」です。ここでも少しメタデータが付与されて いますが、その利用条件は所蔵機関から提示されるものなのか、連携機関からなのか、このページからだとちょっと よくわからないですね。やはりこの画面でそれが明示されてコピペできるようになっているとありがたいですね。

さて、タイトル「薬師如来像(国華第一五三号)(写真)」の下にある「ARC浮世絵ポータルデータベース」というボタンを クリックして、その先のページに行ってみます。が、これはうまくアクセスできませんでした。リンク先のサイトの がちょっとお休み中か、データベースが引っ越ししてしまったのかもしれません。 東京都立中央図書館 所蔵先管理No.: 343-C017 という情報も記載されていましたので、東京都立中央図書館 のサイトで別途探してみましたが、ちょっと探したくらいではうまく見つかりませんでした。筆者も、 サイト間連携サービスを構築運用することがありますが、これはなかなか難しい問題です。

ということで、残りのレコードは今のところColBaseからのものだけですので、それだけを絞り込んでみます。 19件ですので、一度に表示する件数を変更しなくても1ページで一覧できます。ページの一番下までいくと「キーワードに関連するギャラリー」 というコーナーがあり、「熊野三山」へのリンクもあります。クリックすると、熊野三山に関する解説と、色々な情報への リンクがありました。ふむふむ。新宮の本地仏が薬師如来ということで文字列検索でヒットしたような感じですね。 このページはなかなかよい感じです。ただ、今回は、薬師如来の姿をみたいという話なので、ちょっとずれますかね。ということで、また検索結果一覧に 戻ります。一つずつみていくと、多少の解説もついていて面白いですね。薬師如来立像のコンテンツ情報ページの解説をみていると 「那智山経塚から出土した一群の金銅仏中の1軀」という一節がありますので「那智山経塚」というのがちょっと気になります。他にどういう ものが一緒に出土したのでしょうか?ということで、この文字列を検索してみます。ここで「那智山経塚」をドラッグすると、検索 ボタンがポップアップする、というサイトが最近は結構増えていますが、ジャパンサーチはまだそういう機能はついてないようです。 ので、コピーして検索窓…は、右上の虫眼鏡アイコンをクリックですね、で、ペースト、です。やはり、ちょっとマウスポインタの 移動量が大きくなっちゃって不便な感じがします。正式版では色々なんとかなってもらえるとありがたいですね。

で、「那智山経塚」で検索すると、ウェブ公開されているものは2件、「観音菩薩立像」も一緒に出土したみたいですね。他に 何が一緒に出土したのか、この情報だけだとわかりませんので、ついでにググってみると、 大日如来像も出土したような感じですね。論文等で何かないかなと思ってCiNiiで検索すると2件、INBUDSというサイトで検索してみると、 3件ヒットします。 少しきちんと調べて見たくなったらこういうものも見てみるとよさそうですね。あるいは、こういった情報もジャパンサーチで 検索できるようになっていると、もうちょっとジャパンサーチの利便性が高くなりそうですね。

ということで、また薬師如来立像に戻りましょう。右の方に「♡」のアイコンがあります。これは・・・?ツィッターの お気に入りアイコンに似てるけど・・・と思ってクリックしてみると、「ノートに登録されました」と出ました。ふむふむ なるほど。「ノートを見る」というリンクも表示されますので、とりあえずクリックしてみます。そうすると、 なんと、「最初のノート」というページに遷移して、今見ていたコンテンツの情報がリストされています。なんと、 個々のコンテンツに注釈もつけられるようです。保存できるようになっていますが、使用しているWebブラウザの LocalStrageに保存されるみたいですね。サーバ側に保存されるわけではないので、データを勝手に消されたりする心配は なさそうですが、ブラウザを変えたりするとデータを読めないのでちょっと注意しておく必要がありそうですね。 ここら辺は、ベータ版なので、正式版ではまた違う感じになるかもしれませんね。

さて、まあとりあえず、いったん削除してみようかな・・と思ってアイテムのパネルの右下についている「♡(赤くなっている)」をクリックすると、 いきなり消えちゃいました。同じレコードをもう一度ノートに登録してみても、さっきつけた注釈は戻ってこないみたいです。ここも ちょっと注意が必要ですが、正式版ではもっとスマートな感じになってくれるのではないかと期待したいところです。

ノートの機能をもうちょっとだけ見てみましょう。どうやら、検索結果もノートに追加できるようです。そこで 登録してみますと・・・ノートに検索結果が丸ごと登録されて、そこからさらに、自分のノートに個別に追加していく ことができるようです。なるほどなるほど、という感じです。注釈をつけたければ、いったん個別登録してから、 ということになるようです。こうやって色々メモをしながら検索していけば、あとからさらにそれをとりまとめて 何かを作ったりすることができる、という感じの使い方を想定しているのでしょうか。既存のツールで すでにそういうことに慣れている人は既存のツールを使うでしょうが、これから初めて、という人には 割とよい感じかもしれませんね。

ということで、今回の試用レポートはここまでです。

ジャパンサーチ(BETA)を探検 その2

ジャパンサーチ(BETA)を探検してみる記事の続きです…が、意外なことに、他のブログ記事に比べると公開時のアクセス数が全然のびません。夏休みの人もおられるのかもしれませんが、ジャパンサーチ(BETA)の注目度はまだまだこれからということなのでしょうかね。

さて、相変わらず、あまり調べないままに、専門分野外のことで改めてちょっと試用してみます。先週は、台湾の高雄にある仏光山というところにご招待いただいてデジタル時代の仏教学に関する講演をしてきました。そこで、所蔵している大蔵経をみせていただいたり、そこで編纂しているデジタル大蔵経についての説明をじっくりおうかがいしたりしてきました。仕事としてはそういう感じだったのですが、一方、仏光山は仏教のテーマパークとも呼ばれる場でもあり、大きな仏像や仏画をそこここで見ることができました。釈迦牟尼仏・阿弥陀仏・薬師如来の立派な仏像なども拝見することができ、改めて東アジア一円に広がる仏教信仰の篤さに思いをはせたりしていました。そこで、仏像関係はまったく素人なのですが、日本の薬師如来像はジャパンサーチだとどういう風に出てくるのかなと気になってきたので、ちょっと調べてみることにしました。

昨日に引き続き、ジャパンサーチのページを開いてみます。さあ、検索だ・・・、と、あ、そうそう、右上にカーソルを持って行って虫眼鏡アイコンをクリックしてから、ですね。これ、タッチパネルだと使いやすいと思うのですが、自分のノートPCだとなかなか不便ですね。せめて、タブキー押し下げで検索窓が開くといいですね。これは、APIなどを使って各自が別に自分の使いやすいインターフェイスを開発しろというメッセージだとすれば優れたものだと思います。DPLAやEuropeanaだと、開発者コミュニティが割とできあがっていて周辺ソリューションもちょこちょこ開発提供されていますが、日本だと、まだそういうコミュニティが十分に育っていないので、そういう契機を提供することに取り組むのも大事だと思います。そこら辺のポリシーは私レベルの末端利用者には全然聞こえてこないので、これは正式版を待つことになるでしょうか。

というわけで、まずは薬師如来を検索してみました。1,213件見つかりました。さて、仏像関係は素人なので、ここから先、どうしたらいいのかよくわかりません。よくわからない時は、ファセットの一番上に「権利区分」が来ていても、うーん?という感じです。まずは、提供されているコンテンツの種類がわかるとありがたいなあと思います。想像するに、きっと、立体の薬師如来像の写真とか、薬師如来が書かれた絵の平面写真、あるいは、それを説明する古典籍・古文書、現代の解説書や、それについて言及している論文もあるでしょう。あと、近所の東京国立博物館でやっている特別展示会では薬師如来も並んでいることが結構あるので、そういう情報もみつかるといいなあと思います。

そこで、ファセットを上からみていくと、「カテゴリー」というのがあります。「書籍等」「文化財」「美術」「人文学」「放送番組」…などとなっています。なんと、一番下には「舞台芸術」!ということで、素人なので、まずは面白そうな舞台芸術をみてしまいます。そうすると、早稲田大学 坪内博士記念演劇博物館の奈良絵本「しやうるり」がリストされました。ありがたいことに「備考」に少し詳しい解説が出ていました。前々回からの流れで言えば、このコンテンツ情報ページを開いた際にこの「備考」欄も一緒に表示されたので、これはありがたいことでした。この備考欄のテキストを使わせてもらえるとありがたいかもしれないので、「収録されているデータベース」の項目のデータベース名「演劇博物館名品セレクション」をクリックしてみると、メタデータの利用条件も表示されて、CC BY 4.0となっていました。これはライセンス的には使いやすそうです。ただ、この場合、出典情報表示はどのようにすればいいのでしょうかね?所蔵機関は「早稲田大学 坪内博士記念演劇博物館」で、データベースは「演劇博物館名品セレクション」ですので、サイトポリシーの例からすると、ジャパンサーチ「演劇博物館名品セレクション(早稲田大学 坪内博士記念演劇博物館)」でいいのでしょうかね?ちょっとよくわからなくなってきているので今回は引用しません。やはり、コピペできる形でコンテンツ情報ページに表示していただけるとありがたいです。(あるいは表示しないでもCopyボタンだけでも)。ちなみに、「収録されているデータベース」の下、「演劇博物館名品セレクション」の左には○に囲まれたハンバーガーアイコンがあるので、とりあえずこれを何度かクリックしてみてしまいました。が、このハンバーガーアイコンは、よくある□に囲まれたハンバーガーアイコンのようにここにメニューが隠れているというわけではないようです。前回も含めて、だんだん慣れてきました。一度きちんと覚えると、「メタデータの利用条件の確認」を素早く操作できるようになってしまうので、今度は逆に、使いやすく変更されても文句を言ってしまうめんどくさいおじさんになりそうです。ですので、とりあえずBETAの段階では、あまり慣れてしまわないように注意する必要もあります。

ところで、このデータは、サイトに行ってもサムネイルしかありませんでしたので、内容を見ることはできなさそうです。しかしながら、奈良絵本のしゃうるりなら、他のところでも公開していそうな気がします。そこで、検索!と思って検索窓を探すと・・・あ、右上の虫眼鏡アイコンをクリックですね。カーソルを持って行って・・・クリック!で、「奈良絵本 しやうるり」「奈良絵本 浄瑠璃」などといくつか検索してみます。前者は5件ヒット、後者は27件ヒットでした。

 とりあえず前者のリストを見てみると、ファセットの権利区分のところには「著作権あり 3」となっています。サブカテゴリーで「映画 1」というのもありますので、やはり素人なのでわかりやすそうな「映画」をクリックしてみると、やはり同じく、「演劇博物館名品セレクション」の奈良絵本のみがリストされました。これはもう見たものですので、リストに戻って、二つ目の「浄瑠璃物語研究 : 資料と研究」を見てみましょう。そうすると、コンテンツ情報ページの著作権情報のところは「国立国会図書館/図書館送信参加館内公開」となっています。二次利用条件のところは「著作権あり」となっていて、かつ、教育利用・非商用利用・商用利用の3箇所とも×です。メタデータ一覧の下の「すべて表示」ボタンをクリックすると目次が表示されるので、なんとなく内容が想像できてありがたいです。そこで気になったので、ブラウザの「戻る」ボタンで一つ戻ります。「奈良絵本 しやうるり」で検索した結果一覧です。「権利区分」で「著作権あり3」となっていますが、この場合は3件ともWeb上では閲覧できないもののようです。権利区分としては「著作権あり」で正しいのだと思いますが、著作権ありでもWebで閲覧できるものもあるのではないかと思いますし、一方、たとえばCCライセンスでもCC0以外は著作権はあることが多いので、「著作権あり」という表記はちょっとミスリーディングのおそれありかもという気がします。Webで閲覧できるかどうかは「コンテンツ公開」というファセット項目があってそこで「限定公開」となっているので、そこであわせて判断せよということなのでしょうね。ただ、これもちょっとハードルが高い感じがしますね。普通の人に気楽に使ってもらうことを目指すなら、「コンテンツ公開」と「権利区分」をもう少し整理できるといいのかなあとも思いました。

 さて、とにかく、「奈良絵本 しやうるり」では薬師如来にはあまり迫れなかったので、次に「奈良絵本 浄瑠璃」を検索です。一覧に戻る前にコンテンツ情報ページから検索、と思ったらやはり虫眼鏡アイコンをクリックしなければならないようである上に、虫眼鏡アイコンをクリックしても、先ほど入力したキーワードは表示されてくれません。では前のページに戻ってみるか・・・と、戻ると、ページとしてはちょっと重いですが、多分キャッシュで残っていてくれると思いますので、この方が軽いでしょうかね。検索キーワード欄には「奈良絵本 しやうるり」が残っていますので「奈良絵本 浄瑠璃」と書き換えて検索です。そんなのめんどくさがらずに毎回入力したっていいじゃないか、と思う人もおられると思いますが、まあ、ちょっと入力のしにくい文字で検索する機会も多く、なるべく前に入力した文字は再利用する方向ですので、ご容赦ください。

 「奈良絵本 浄瑠璃」だと27件ヒットします。「コンテンツ公開」を見ると「限定公開 13」「デジタルコンテンツなし 2」となっています。デジタルコンテンツなし、をクリックしてみると、2つとも演劇博物館名品セレクションでしたので、戻って(この場合は、デジタルコンテンツなし、のチェックボックスのチェックを外すと戻ります)、ざっと見てみますが、画像を見ることはちょっと難しそうです。そこで、別にどこかないかな・・・と思ってGoogle 検索してみますと、こういうのがありました。同じものかどうかわからないのですが、とりあえず薬師如来の申し子である浄瑠璃御前の姿が、小さいながら確認できたような気がします。サントリー美術館のサイトでしたので、こちらもジャパンサーチに参加していただけるとありがたいですね。さらにもう少し検索してみるとこういうものもありました。こちらは、立命館大学アート・リサーチセンターが提供するデータベースのようです。これは大変ありがたいですね。これもジャパンサーチに入ってくれていると、ジャパンサーチでの探し物がはかどりそうですが、もう入っているのでしょうかね?(ここら辺も、末端利用者にはよくわからないところです)。

 さて、奈良絵本につい入り込んでしましいましたが、元のテーマは薬師如来です。気を取り直して、一から検索しなおしてみたいですが、ここで少し振り返ってみると、「カテゴリー」でとりあえず「舞台芸術」を選んだところからハマっていきました。もし、「カテゴリ-」のところで、「舞台芸術」1件が「デジタルコンテンツなし」か、あるいはせめて、「Web公開なし」であることがわかっていれば、おそらくそもそも「舞台芸術」をクリックしてGoogle検索までして・・・という風にはならずに済んだでしょう。ジャパンサーチ内でユーザに楽しんでもらうなら、カテゴリー/サブカテゴリーの各項目でそれぞれにWeb公開コンテンツがどれくらいあるのか(あるいはないのか)ということも一緒に表示されているとよいかもしれません。

 それはともかく、ここまでの学びとして、ウェブ公開コンテンツを見たいのであれば最初にファセットの「コンテンツ公開」で「ウェブ公開」を選んでおけばいいということを覚えましたので、これをクリックです。それでもまだ154件も残っています。ウェブ公開なのに「著作権あり」というのがありましたので、それをちょっと見てみましょうか。NHKからのコンテンツで、メタデータが提供されています。コンテンツのページへのリンクをクリックしてみると、新日本風土記アーカイブズのサイトで動画も見ることができました。これは素晴らしいですね。ともあれ、コンテンツ利用条件は3つとも×ですので、メタデータだけでも使えるのかなと思ってみていくと…メタデータの利用条件はまだ何も書いてないようです。とりあえず、このコンテンツやメタデータを再利用して何か新しいコンテンツをつくるのは、今のところちょっと難しそうですが、とりあえず、動画で薬師寺の薬師如来像を見ることができたので、素人としてはちょっと満足してしまいました。ですので、今回はここまでとしておきます。今回は特に面白いことを提供できておらず、ここまで読んでいただいた方には申し訳ありませんが、引き続きよろしくお願いいたします。