オープンアクセス出版『デジタル学術空間の作り方』が刊行されました

ここしばらく、文章を書く時間のほとんどを費やしていたものが、ついに刊行されました。

もうじきアマゾンで紙版が入手可能になる予定ですが、

https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/490965819X/hanmotocom-22www.amazon.co.jp

科研費事業の成果報告という位置づけの刊行物であり、オープンアクセスでも入手できるようになっています。このような試みに親切にも対応してくださった『文学通信』社のリポジトリにて全文を無料で閲覧できます。

repository.bungaku-report.com

第一部では、これまでほとんど語られることのなかったSAT大蔵経テキストデータベース研究会の通史が綴られています。後半部分の、テキストデータベース公開以降の話はあちこちで論文が出ていますのでCiNii等で探せばほとんどの話はみつかると思いますが、前半部分、とくに研究会の設立からテキストデータ完成に至る経緯は、日本でのデジタルアーカイブ構築の一事例としても、ある研究分野のデジタル技術への向き合い方の一例としても、興味深いものと思います。身内を褒めるようで恐縮ですが、一連のネゴシエーションを乗り切ってこられた関係者の先生方、とりわけ下田正弘先生の御尽力には改めて圧倒されるものがあります。

本書について個人的に面白いと思うところは第二部にも多くあります。仏教研究に長らく関わりつつデジタル技術を何らかの形で活用してきた方々、資料としての仏典に含まれる情報をデジタル技術を用いて探求する方々など、それぞれの立場から、仏典をめぐるデジタル技術の状況が語られており、情報技術の適用の仕方としても、テキスト研究のこれからを考える上でも、様々なヒントがちりばめられています。 第二部の個々の記事の解説はこちらにてご覧いただけますので、試しに読んでみる前にちょっと目を通してみていただくとご参考になるかもしれません。

まだまだできていないことも多いですが、これからも、デジタル学術空間をどう作っていくか、試行錯誤を続けつつ、良さそうなものは皆さんと共有しながら続けていきたいと思っております。

個人的には、あと1冊刊行しなければならないものがあるので、ブログ書きはもう少し遅延し続けるかもしれませんが、ここ数ヶ月に比べれば、この後しばらくは更新頻度は多少高まると思います。

今後とも、よろしくお願いいたします。