さて、またずいぶんブログの更新を怠っておりましたが、その間、色々なところで活動しておりました。特に印象に残ったのは、ヴェトナムのDHコミュニティの立ち上げのお手伝いの仕事でした。これはもう少ししたら具体的なことをアナウンスできると思います。その他、ワシントンDCで開催されたIIIFカンファレンスで発表したり、IRG国際会議で北京に行ったりしていましたが、そのご報告はまた後日ということで、今回は、表題の件です。
私も研究分担者をさせていただいている科研費基盤研究(S)のプロジェクトで、フランスとドイツ/米国から、デジタル・ヒューマニティーズの著名な研究者かつ実践者をお二人お呼びして、日本でワークショップとシンポジウムを開催する運びとなりました。
そこで、同時通訳付きのシンポジウム(+国内の最新事例のデモ19件)と、使い勝手なども含めたテキストデータベースの具体的な話をする小さなワークショップという、二つのイベントを開催することになりました。(いずれも、参加費無料ですが要参加申込みですので、上記リンク先のサイトにて、お早めにお願いいたします。)
海外から来て下さるお二人のお仕事については、それぞれのサイトにも書いてありますが、このお二人のプロジェクトは、ヨーロッパ全体を対象とした大型で包括的な研究向けデジタル基盤提供プロジェクトDARIAHと、専門分野に特化された精密かつ巨大なデジタルアーカイブ(ペルセウスデジタル図書館・西洋古典フルテキストデータベース)という、対照的な、しかしそれぞれがデジタルアーカイブの研究利用という観点から世界の最先端を行っているものです。特に、ペルセウスデジタル図書館についてのご講演は、本邦初です。(メールマガジン『人文情報学月報』で特集されたことがあります。「ペルセウス・デジタル・ライブラリーのご紹介(1)(2)(3)」)このお二人にそれぞれ同時通訳付きで講演をしていただくのが、7/6のシンポジウムです。この日は、人文学のためのデジタル学術基盤を考えるという趣旨になりますので、これらに加えて、国立情報学研究所の大向先生からも、日本のデジタル学術情報基盤全般と、そこにおける人文学の位置づけについてのお話をいただきます。
また、それに加えて、今回は、国内の関連する組織・プロジェクト等から19件のポスター・デモンストレーション発表をいただきます。これは、国内での人文学向けのデジタルアーカイブ研究活用の最先端の事例とその中心メンバーの方々に、参加者の皆さんと直接やりとりをしていただき、情報を得ていただくということを目指しております。近年の人文学におけるデジタルの活用に関する議論を拝見しておりますと、海外どころか、国内の事情もうまく共有されないままにあまり建設的でない議論になってしまうことも時々あるようです。今回は、そういう状況を一気に解消して、皆で地に足の着いた将来像を描いてみることができるようになることをも目指しております。デモンストレーションを提供して下さる機関については、こちらのリストをご覧下さい。ほとんどは研究活用に向けたデジタルアーカイブ、もしくはそのサービス基盤を提供しているところからの発表、ということになります。
それらの機関からポスターとデモンストレーション発表を出していただき、それぞれに液晶ディスプレイを使っていただきながら40分間+αのデモンストレーション時間に説明と質疑応答をしていただくという形になる予定です。残念ながらこの19件だけでは国内の先進事例のすべてを網羅できているわけではないのですが、しかし、これだけのプロジェクトが一堂に会し、情報提供をしてくださる機会は非常に希ですので、我国の人文学におけるデジタル研究基盤、あるいは、デジタル時代の人文学の将来像にご関心をお持ちのみなさま方におかれましては、ぜひこの機会をご活用いただきたく存じております。
もう一つのイベントは、前日(7/5)に開催される、上記のワークショップです。こちらは同時通訳はなく、英語での開催となりますが、ペルセウスデジタル図書館と、SAT大蔵経テキストDBという、二つのテキストデータベースを採り上げて、より具体的なテクストDBについての議論が行われる予定です。とりわけ、西洋古典のテクスト研究におけるデジタル技術活用の最新動向についてご関心がおありの方は、こちらもぜひご参加下さい。
ということで、参加されるみなさまと、うまく色々な有益な情報を共有できればと思っております。そして、参加できなかった方々とも、事後に、なんらかの形で情報を共有できればと思っております。すべきことが多すぎて、みんなで大変な時期にさしかかっておりますが、なんとか乗り切っていきましょう。