欧米の文献学者によるデジタル文献学の最先端と欧州デジタルアーカイブの最先端

来週月曜日(9/10)、一橋講堂(東京都千代田区)にて、無料公開国際シンポジウムが開催されます。参加費無料・要登録で、登録は本日までです。バート・キャベル先生、ユリア・ノルデグラフ先生、スーザン・シュライプマン先生による、同時通訳付きのご講演です。文化資料を対象としたデジタル技術の研究活用についての最新動向を、日本とヨーロッパの例を中心として日本語で聴講できるまたとない機会です。まだ残席ございますので、ぜひご登録&ご参加をお待ちいたしております。詳しくはこの記事の下をご覧ください。

 

無料公開国際シンポジウムの背景とさらなるお誘い

このブログでも何度か触れてきましたが、欧米の文献学者の中には、デジタル媒体をきちんと活用していこうという流れが強くあり、それを反映したデジタル化ガイドラインも作成され、技術の進歩にあわせて改訂が続けられてきています。そのガイドラインの策定・改訂を欧米で長らく担ってきたTEI (Text Encoding Initiative) 協会が、今回初めて、欧米を離れて日本で年次大会を開催します。欧米の文献学者(IT専門家ではなく)が主導するデジタル文献学を日本で知ることができるという、絶好の機会になります。年次大会の事前申し込みは締め切りましたが、当日申し込みも可能ですので、ぜひお越しください。

 

無料公開国際シンポジウムをもう少し詳しく

これにあわせて開催される日本デジタル・ヒューマニティーズ学会の年次国際学術大会JADH2018と合同で開催されるのが、冒頭でご紹介した、無料国際シンポジウムです。

ロバート・キャンベル先生は、すでに日本でも有名な先生ですが、現在は、国文学研究資料館の館長として、日本古典研究のための大規模デジタル化プロジェクトを率いておられます。

ユリア・ノルデグラフ先生は、音声・映像や文化遺産の保存と利活用の研究に取り組んでおられ、アムステルダム大学のデジタル文化遺産の教授としてヨーロッパの文化資料のデジタル化と利活用を先導しておられます。

スーザン・シュライプマン先生は、アイルランド詩の研究の傍ら、欧米のデジタル・ヒューマニティーズを牽引する活動に長らく取り組んでおられ、米国で長らく仕事をされた後、アイルランドに移られました。米国では、この分野の研究者を育成するとともに欧米で決定版とされる入門書を2度にわたって編集・刊行し、現在はアイルランドクラウドソーシング翻刻プロジェクトを率いるなど、多方面で活躍しておられます。

 ロバート・キャンベル先生のお話から、日本の古典籍デジタル化の最先端をおうかがいできることは言うまでもありませんが、

 デジタルアーカイブに関心をお持ちの方は、ユリア・ノルデグラフ先生のお話から、ヨーロピアーナの先にある姿をイメージできると思います。

 文献学のデジタル化(単なる文字起こしではなく)についてご関心をお持ちの方は、スーザン・シュライプマン先生のお話から、文献学を含む人文学の社会における位置づけを含む多くのことを学ぶことができると思います。

 特に、海外からいらっしゃるお二人の先生のお話を、日本で日本語で聞ける機会は非常に貴重です。この機会を、ぜひ、ご活用いただければと思っております。